G010 質問8 姿勢を良くしていると動けません

投稿者: | 2020年2月20日

G010 質問8 踊っていて姿勢が良くないといわれますが、自分では背筋を精一杯伸ばしているつもりです。けどその状態では背中が固まって踊れません。踊っているときの姿勢が良いとはどのような状態を指しますか。(男性)

 

 

◇ ◇ ◇

私たちは頭のどこかで、「踊る」=「競技ダンス」=「頑張って形を作る」の勘違いの公式ができ上がってているか、誤った考えに洗脳されている気がします。まず、その勘違いと洗脳から解放されましょう。

更に、「踊る」と「動く」は別物であることに気づくことが大切です。

 

足型を追いかけ、力任せに「動く」ことはできても、それはあなたが求める「踊り」ではないことでしょう。

 

「踊る」には無理な力の入っていない、バランスのとれた動きが求められます。バレエや他のダンスを見ても、上手な人で背中を固めている人は誰もいません。社交ダンスも競技ダンスも同じです。

 

「背中を固める」は、じっとしている分には良いですが、あなたが感じているように、それでは動けなくなってしまいます。レッスンで「背中は一枚にしなさい」とか「肩甲骨を寄せなさい」のアドバイスを受けることがあるかも知れません。それらは、ある意味において正しいのでしょうが、私たちのレッスンではお勧めしていません。なぜでしょう?

 

「一枚にする」、「肩甲骨を寄せる」の表現には、暗に「力でそうする」意味が含まれているからで、力で頑張って形をキープしていると、大切な踊り(「動く」ではない)に必要な筋肉が使えなく(足りなくなる)からです。筋肉は、その場所だけに使っていることはなく、必ず「他の部分と影響し合って」います。それを体感してみましょう。

 

1.その場に立って体をグニャグニャに動かします。
2.グニャグニャ動かしながら体の一部(例えば、目に少し力を入れてみましょう)
3.途端にグニャグニャ動きがカチカチ動きのようになるのが実感出来ます。

 

目に力を入れただけでも動きが損なわれるのですから、目より遥かに大きな肩甲骨に力を入れるとどうなるか、結果を検証するまでもありません。

 

では、肩甲骨をどう扱えば良いのでしょう。私たちがサークルで教えているのは、

●肩甲骨の力を抜いてストンと落とす感じにする――です。

 

腕を曲げるとき、腕の内側の筋肉を収縮させる方に気が行きますが、そのとき、外側の筋肉は緩む仕事をしています。「肩甲骨を寄せよう」として、背中側の筋肉を引き締めるのは自然な考え方ですが、別のアプローチとして、反対側の「胸部の筋肉を緩めよう」と考えてみると、少し違った結果が出るかも知れません。

 

話をタンゴに変えますが、タンゴのプログレッシブ・リンクで頭部のどこを意識しているか考えたことはありますか? 

自然なこととして、多くの人は顔の前面を意識していると思います。では、その意識を後頭部に移してリンクして見てください。つまり、「後頭部でリンクする」です。同じリンクでも、ちょっと違った感じになりませんでしたか?

 

このように、アプローチの仕方を変えてみると、興味深い結果になることがあります。

 

話を肩甲骨に戻しましょう。

その場で軽やかに縄跳びする気持ちで数回跳びながら、肩甲骨がどういう状態かを観察しましょう。

 

きっと、肩甲骨には力が入っていなかったのではありませんか? 

 

では、今度は意識的に肩甲骨に力を入れて跳んでみましょう。

上手く跳べないことでしょう。

 

この実験から肩甲骨に力を入れると動きが阻害されることが分かります。これは大切なポイントです。

 

最後になりますが、その場で数回、エアー縄跳びで跳んでから、トウで止まって下さい。それから、静かにヒールを下します。

その形から、静かにホールドしてから踊ってみてください。

 

肩甲骨に力が入っていなく、体の他の部位からも余分な力を抜くようにすると、ホールドも楽にでき、結果、ダンスが「動き」ではなく「踊り」になることでしょう。

 

ハッピー・ダンシング!