MT03 推薦の言葉~まえがき

投稿者: | 2020年2月18日

「ダンサーのためのメンタル・トレーニング」(マッシモ・ジョルジアンニ著/神元誠・久子翻訳/白夜書房 原書名:DANCING BEYOND THE PHYSICALITY)を紹介します。

■推薦の言葉  ■献辞  ■まえがき  ■目次

 

推薦の言葉

 

推薦の言葉 Foreword

 

Hurley’s foreword

 

訳 文

日本語翻訳本が出版されるにあたり、その推薦文の依頼を受け非常に嬉しく思います。長年、マッシモとアレッシアと共に働いてきましたが、彼らには特別な才能があります。その才能をダンスに生かすべく、二人は非常に熱心に取り組んでいましたので、二人が成し得た成功は当然過ぎる程当然と言えます。

 

二人の踊りはダイナミックなだけではなく、内に秘めた感情と音楽性というものが何よりも大切にされています。こんにちのフロア上では、大げさなシェイプとか体操のような動きが席巻していますので、マッシモがこの本の中で、芸術性を保ちつつも、いかにチャンピオンに到達できるかというアプローチの仕方を語っていることがとても嬉しいです。

 

皆さんが読み進むにあたり、一見重要でないと思われる見出しが目に入るかもしれませんが、実は、すべてが必要なことばかりなので、注意深く読まれることをお勧めします。個人的に特に気に入っているのは、「信念」、「内から外へ」、そして「パートナリング」の章です。ハイライトされている部分を理解し、それが体に浸透し、二つのボディの中で調和するには時間がかかることなので、すぐに習得できるものではありませんが、音楽性溢れる芸術的なダンスには不可欠です。当然、その前にベーシックがこなくてはなりません。

 

この本が読者の皆さんのダンスを、確実に次のレベルに引き上げてくれることは疑う余地がありません。なぜならマッシモとアレッシアで実証済みなのですから。

アンソニー・ハーレイ

 

 

 

 

 

献辞 

献辞 Acknowledgement

立派な本には必ず「献辞」のページが割かれているものです。私の場合、その献辞の中で感謝したい人が多数います。私のダンス人生において、そして、この本を書くにあたり、手伝い、支えてくださった人たちに…。

 

最初に感謝したいのは私の両親、母のカーメラ(Carmela)と父のセバスティアーノ(Sebastiano)です。両親は自分たちを犠牲にしてまで、私の夢のために尽くしてくれました。これ以上、息子として両親に求めることなど、何一つありません。

 

現役時代、技術指導してくださった人たちにも感謝いたします。特に一部の人たちが仕事に注ぎ込んでいた知識と情熱には、大変感銘を受けました。ロモロ氏(Romolo)は、この本の内容を忍耐強く整理してくれました。ありがとうございます。私の考えをまとめるのは、とても大変なことだったと思います。世界中のたくさんのダンサーと一緒に仕事をする機会がありましたが、その人たちにも感謝いたします。彼らは、この本を書かなくてはいけないと、私の後押しをしてくださいました。

 

執筆に専念させてくれた妻のアレッシア(Alessia)にも感謝しています。本当なら家族と過ごすべき時間でしたからね。彼女は私のダンス人生でかけがえのないパートナーであり、そして今日では、愛情溢れる妻であり、子供たちの素晴らしい母親でもあります。

 

最後に、自分の好奇心と向上心にも感謝しましょう。それがあったからこそこうして勉強を続け、人々の行動を観察することができたのですから。

マッシモ・ジョルジアンニ

 

 

まえがき

 

まえがき Preface

私は、誰もが無限の才能を持っていると固く信じています。残念ながら、才能が十分に生かされていないケースを見かける事もありますが、それはその人が、自分にはそんな才能がないと思っているか、自分が設定したゴールへ邁進する決意を決めかねているか、あるいは、その選択すらしていないからです。この本を書くにあたり、私の脳裏に最初に浮かんだことは、ダンサーたちを、まずは内面からダンサーになって貰う方法でした。つまり、踊りの中にあるマジックをどう理解して貰うかと言う事でした。

 

そこで皆さんを、目には見えない、心の中の旅にお連れしたいと思います。観客に披露するパフォーマンスを最終段階とするなら、この内面の部分は、まだ控え室にいる段階です。控室で行なうメークアップは何か、それを理解して貰い、その上で、あなた独自の踊り方を発展させて行くお手伝いをしたいと思います。

 

花が開花したり子供が誕生したり―こうした感動の瞬間のように、私は、目に映る物とは、様々な要因が織りなした結果の完成品なのだと思っていますので、目には見えない何かに気付いた時、本当にゾクゾクしてします。それはちょうど、レオナルド・ダビンチの絵を見て、「素晴らしい。けれど、誰もダビンチが考えていたこと、感じていたことを知らないじゃないか」―というのに似ています。いったい彼はモナリザを描きながら何を考えていたのでしょう。

 

• なぜモナリザだったでしょう?

• その絵を見てダビンチは何を感じていたのでしょう?

• 観る人に何を考えて欲しかったのでしょう?

• あるいは、何を考えて欲しくなかったのでしょう?

• 色の混ぜ合わせ方はどうだったのでしょう?

 

できるなら時を戻し、ダビンチ自身に尋ねてみたいものです。しかし結局の所、私たちにできる事は、完成品(この場合は絵画)を見ること、そして、自分の判断に委ねることだけなのです。同様の事がダンスのカップルにも言えます。

 

• どうしてその表情にするの?

• どうしてそのポスチャーを取るの?

• そこの動きを速くする/遅くする理由はなに?

• 彼女がどこまで動けるか、知っている人は誰?

• 彼の踊り方に彼自身が納得しているかどうかなんて、誰が分かりますか?

• 彼女が自分の考えよりも、他の人たちの声に耳を傾けているかどうか、誰が分かりますか?

• 使うステップが全く同じでも、ある人には受け入れられ、別の人には受け入れられないのは何故なのでしょう。

 

そこで、この疑問が湧いてきます。それは、美的観点の違いからそうなるのだろうか、と。しかし、決してそうではありません。私が思うに、私たちが目にするものは、それは、その内部で起きた一連の行為が結果として現れた外側の部分だと言う事です。

 

何かをしようとする意志は美意識より強く、情熱はテクニックより強大なのですが、こうした話題に触れる人はごく稀です。ダンサー達が踊りを直される時、殆どの場合は動きをベースに直されます。

 

しかし、直される動きの裏には、ダンサーの深層に潜むそれなりの理由がある事を、私は経験から知っています。レッスンをしながら、そうした深層部に触れて行くと、ダンサーは技術的にも上達し、バランスが良くなり、ポスチャーは綺麗になり、より自分の事を感じるようになります。

 

中でも重要なのは、自分と自分を取り巻く空間の違いを感じ取るようになることです。そうすると、自分自身が今、目にしている物の一部と化しつつ、自らの動きを創り出すので、そこから生まれる表現や誠実さには、心の底から感動を覚えます。

 

言葉は触れることができないものです。フィーリングにも、信念にも、欲求にも、人間関係にも、マジックにも、想像力にも、情熱にも、決意にも、誠実さにも触れることはできません。でも、そうしたものがあなたと一体になると、忘れがたい動きが創り出されることを保証します。心揺さぶる、あなただけの動きとなることを。

 

私たちの体の中には何でも知っている ― そうした場所があります。極端に言えば、踊る前から踊り方を知っているとも言えます。ただ私たちは、その場所に耳を傾ける事も、その重要性や素晴らしさを認識しようともしていません。

目には見えない不思議なエネルギーがあります。それは目には見えませんが、私たちはそれがあることを感じています。そのエネルギーは私たちの内部でカクテルのように作られ、肉体との共演で表現されるのです。

 

私たちは、実際に踊り出す前にダンスを踊っており、それが美しいかどうかも、すでに自分自身でジャッジして知っています。ダンスはまず、自分の内部で踊り始めていなくてはならず、体の外側での動きを起こす前に、体の中でモチベーションが創り出されていなければなりません。そのためには、自分自身の事をもっと知る必要があります。

 

私はこの本を書くことで、感動とは何かとか、以前に考えていたことなどがより鮮明になりました。ダンスで目に見えないもの、つまり、その目に見えないものと私たちの体が一体となって形作るものは何なのか、と言うことが見えてきたのです。

 

この本では、私が、ダンサーなら当然自分自身に問いかけるべきだと考えていることを取り上げています。もしあなたが、自分自身の動きを模索しているのでしたら、どうやって(HOW)動くかではなく、なぜ(WHY)そうするのかを理解しなくてはなりません。

 

従って、この本では「なぜ」を軸にし、考え方を変えるだけで動きが変わること、そして、パフォーマンスが100%改善される事を見ていきたいと思います。服を着替えたからと言って必ずしも見た目が良くなるとは限りません。しかし、自分のことを心から良く思ったとき、外観は必ず良い方に変わり、ゴールがより鮮明となり、人間関係さえも良くなるのです。

執筆中、私はどのページを書いていても興奮しっぱなしでした。その興奮が、そして私が抱く強い好奇心と情熱が、この本を通してあなたにも伝わらん事を願っています。そうしたエネルギーには、決して手で触れることはできませんが……。皆さんが、楽しく読んで下さることを願っています。

 


(「MT03 推薦の言葉~まえがき」おわり)