#013 ラテン・チャンピオン雑学3 ドニー・バーンズ&ウォルター・レアード

投稿者: | 2020年1月9日

ダンスビュウ2017年3月号に「ラテンレッスン雑学」という記事を書かせていただきました。原稿依頼を受けたとき、なぜか「ラテン・チャンピオン雑学」と思い込んだたため、記事はチャンピオン達の話になっています。そこで、このブログでは「思い込みの」のタイトルをそのまま使い、オリジナル原稿に手を加えて紹介していきます。「ラテン・チャンピオン雑学3」はドニー・バーンズと彼の恩師、ウォルター・レアードについて。

 

#013 ラテン・チャンピオン雑学3
ドニー・バーンズ&ウォルター・レアード

 

 

楽しそうに恩師を語る Donnie Burns

ドニー・バーンズはブラックプールで6回優勝の説明不要の偉大なチャンピオンです。その彼のレクチャーを幾つか見たことがありますが、いつでも恩師、ウォルター・レアード(Walter Laird 愛称 Wally)の話が入っている気がします。

例えば、2006 Happy Training Italy でドニーは、

「ウォリーのレッスンを受けられない皆さんがかわいそうに思う。彼はファンタスティックなダンサーで天才的な先生だっただけではなく、とても愉快な人物だった。細かな技術的なことを習うのはつまらないと考える人もいるかもしれないけど、僕は、彼の一言ひと言を聞くことに夢中だった。晩年、どうにか歩けるような状態のときでも、彼がリードして見せたキューバン・ブレイクスは、僕の5倍も素晴らしく、すごく悔しく思った」

と話しています。

 

私事ですが、私たち夫婦がサークル活動を始めて少し経った頃、レアードのラテンの 8㎜ を買いました(How to Dance Lain / UFOプロダクション 下)。パートナーはサンドラ・スマートさんでしたが、これを見て妻がすかさず「レアードのリードが凄い!」と驚きました。私も「ホントだね!」と相槌を打ちましたが、本当は彼のリードが見えるようになったのはそれから何年も後のことです(汗)。

 

ドニーの話に戻りますが、

「踊り始めで相手が緊張して感じられるのは、君がそうさせているのさ。ちょっと笑顔を見せればいいのさ」とアドバイスを受けたことも話しています。

実際にはこれは、

→【笑顔を見せる】

→【筋肉が緩む】

→【ボディが軸足にセトリングする】

→【物理的にホールドしている手の位置が下がる】

→【リードが上手く行く】

という流れに繋がるヒントだったようです。

 

これも確か同じレクチャーでの話だったと思いますが:-

「『女性に恋したら、彼女のどの部分を見るかね?』とウォリーが聞いてきました。『絶対見なければならないところがある』というので、こりゃ大変な話になったと僕は思った。ゲーナはすでに目を覆っていた。すると彼は、『アンクルだよ。アンクルを使えない奴を好きになっちゃだめだ』と言ったのさ。(笑)」

 

レン・スクリブナーは著書  “Just One Idea”  の中で「レベルが低くなるにつれ、足の重要性を忘れる傾向にある」と書いていますが、ラテンでは足首の使い方なのですね。

 

 

■動画

完璧主義者のドニー・バーンズ&ゲイナー・フェアウェザーは自分たちが踊るレッスンビデオは撮らなかったと聞いたことがあります。その彼らが唯一残したレッスンビデオ(…と言えるかどうかも怪しいですが)が “Basic Routine & Demonstration” (スタジオひまわり)。私もこのDVDは所有しておらず残念に思っていたのですが、先日 YouTube でこれを見つけました。いつまでも消されずにあるかどうか分かりませんが、ここにそれを貼ります。

 

 

 

■極秘任務に就いていた Walter Laird

ドニー・バーンズが尊敬するウォルター・レアードは、パートナーのロレイン・レイノルズ(Lorraine Raynolds)と1960年代に3度、インターナショナル選手権で優勝。でも、それ以上に現代のラテンダンサーには、ラテンのテキスト Technique of Latin Dancing の著者としての方が知られているかもしれません。初版は1961年です。

ラテンの複雑な動きを文字にした彼の能力には驚かされますが、彼は技術学校で電子工学を学んだ彼は第2次大戦中、英国空軍でトップシークレットの仕事に就いていたようです。コクピットに使われる計器の設計に携わり、分析能力の高い人だったのです。

彼の教えはドニーのみならず、誰もが舌を巻くほど的確だったそうですが、それに対し、彼はこう話していたそうです。

「あらゆる駄目なことをやってきたから、何がうまくいくかわかるのだよ」

(参考:Ballroom Icons)

 

 

■動画

YouTube で見つけた映像です。1963年の映像ですから、彼がラテンの本を書き上げて2年後ということになります。

この踊りを見て、「リードは凄いけど、どうしてボディの動きが少ないのかな?」と不思議に思っている人もいることでしょうが、そこには衣装の問題があったことをご存じでしたか?

そのことは、また別の機会に書くことにしましょう。

 

ハッピー・ダンシング!