4. ハ行 (386-568)

 

        

 

 

386 バー(Bar)
楽曲の最小単位の小節のこと。例えば4/4拍子の曲では4分音符4つ相当分が1小節に入ります。お酒を飲む場所のバーも同じ言葉から出ていて、「横木」が語源にあります。

 

387 パーティー・ダンス(Party Dance)
パーティーの参加者が楽しめるよう考案されたダンスで、パートナー交換をしたり、遊びの趣向を含んだりするダンス。英語では単にゲーム(Games)とか、色々な人と交じり合って踊る場合にはミキサー(Mixer)、みんなが参加すると言う意味合いでパーティシペーション・ダンス(Participation Dance)と言ったりするようです。また、ISTDとIDTAからはパーティー・ダンスの本が出ています。

「ボールルーム・ダンシング(ムーア著)」には、

  • ポール・ジョーンズ(Paul Jones)、
  • ミリタリー・ポール・ジョーンズ(Military Paul Jones)、
  • エクスキューズ・ミー・ダンス(Excuse Me Dance)、
  • パレイ・グライド(Palais Glide)、
  • ランベス・ウォーク(Lambeth Walk)、
  • セント・バーナーズ・ワルツ(St. Bernard’s Waltz)、
  • スポット・ダンス(Spot Dance)、
  • エリミネーション・ダンス(Elimination Dance)、
  • フィンジェンカ(Finnjenka)が紹介されています。

 

 

388 パート・ウエイト(Part Weight)
ステップしたとき体重が完全に移動せず、両足の上にあること。

◆この場合のパート(Part)は英語の「部分、不完全な」の意味で、両足の上の体重のかかり方は必ずしも半々とは限りません。

 

 

389 パート・オブ・フット/足の部位(Part of Foot)フット(足)、トウ(つま先)、ボール(母球)、ヒール(踵)、インサイド・エッジ(内縁)、アウトサイド・エッジ(外縁)、インステップ(土踏まず)

 

390 パートナー/パートナリング(Partner/Partnering)
踊る相手のこと。男性をリーダー、女性をパートナーとする考え方もありますが、基本的には男女に関係なく踊る相手がパートナーになります。パートナリングはパートナーとどう踊るかと言う意味合いで使われることが多いようです。

★パートナーは二人います。一人目はあなたと踊るパートナー、そして二人目は意外と気づかれていませんがあなた自身です。このあなた自身とのパートナーシップが上手に踊れるかどうかを決定する最も重要なポイントです。自分が上手く踊れないのは体に問題があるのではなく、あなたの体に対する指示の仕方に問題があるのです。(アレクサンダー)

★彼女のボディの中に私のパワーやスピードを注ぐようなことはしません。それをすると彼女はバランスを失い、体は重くなりフォローできなくなります。私が意識するのは彼女の4つのスペース(頭部を中心とした両腕の上に広がる二つのスペースとボディを中心とした両腕の下に広がる二つのスペース)と私の4つのスペースです。どんなエネルギー、スピード、表現などを持とうとも、そのスペースの中に踊りを展開し、重さや力を自分やパートナーのボディの中に注ぎ込むことはしません。踊りが困難になってしまうからです。(L.バリッキ/クイックの話の中で)

★私のパートナリングでの最優先事項はパートナーと踊ることですから、1番目、私の言いたいことが彼女に伝わること。2番目、二人としての共通のメッセージを持つこと。そして3番目、見ている人にもそれが分かることです。(B.ワトソン)

 

 

391 パートナー・アウトサイド(Partner Outside)
自分が後退するときに相手が右外側に前進してくる場合の表現方法で、テキストでは(PO)の省略記号が用いられます。英語の意味は「パートナーがアウトサイドに」です。➡011

◆テキストには一般的に前進する人の説明にアウトサイド・パートナー(OP)が記され、そのとき後退する人の説明にパートナー・アウトサイド(PO)が出てこないのが普通ですが、個人的には記載して欲しいと思っています。

 

 

392 バーン・ダンス(Barn Dance)
1860年代にスコットランドで発生。田舎の人や貧しい人たちが踊ったアメリカのフォークダンスの総称。通常、小屋(バーン)の棟上げや結婚式、誕生日、訪問客があったときに踊られ、後にアメリカのスクエアダンスと一緒になりました。(Street)

 

393 ハイ・ホバー(High Hover)【ST】
ホバー・コルテ2歩目で女性が高い位置で留まる形。男性が両足を揃える形、右足を横に出した形があります。➡431

 

394 ハイ・レッグ・ライン(High Leg Line)【ST】
片足をもう片足に沿って高く持ち上げて作るラインのこと。スタンダードで女性がセイム・フット・ランジからキックに入る前に作り、足を長く見せます。ストーク・ラインもその一種です。➡431

 

395 バウ(Bow)
お辞儀をすること。そのような仕草の振り付け。「モダン・ボールルーム・ダンシング(シルベスター著)」のサンバには、同名のフィガーが紹介されています。

 

396 バウンス/バウンスィング(Bounce /Bouncing)
1. サンバに使われるボディ・アクションで「弾むこと」。

★通常の移動しないときのバウンス・アクションは膝と脚部だけに起こります。バウンスは上にいくことではありません。膝が伸びてもボディが上がらないということはボディで吸収されているということです。(B.ワトソン)

2. フォックストロットのバウンス・フォーラウェイに見るように、移動の途中でつかう「弾む」ようなアクション。

 

 

397 バウンス・フォーラウェイ(Bounce Fallaway)【F】
ステップ的にはフォーラウェイ・リバースと同じですが、1歩目で急激なライズを行ない、2歩目でロアーします。バウンス・フォーラウェイ・リバースとも言います。

 

398 パソ・ドブレ(Paso Doble)
「パソ・ドブレは元来、単に男性がマタドール(matador)、女性がケープを表現する踊りでしたが、今では牛、スパニッシュ・ダンサーなどの役を演じるようになり、フラメンコやスパニッシュ・ダンスの動きも多く含まれています」とシャーリー・アイム氏のテキストに書かれています。また、ジェフリー・ハーン氏のテキストには「ダンスそのものはフランスで発祥したが、音楽はスペインで発達してきた」の記述があります。

◆「パソ」は英語のペース、あるいはステップに相当し、「ドブレ」はダブルに相当します。

◆闘牛士を総称してトレロ(torero)といい、その中にマタドール、ピカドール、バンレリーレロなどがあります。主役のマタドールは、「殺す」と言う語源から出た言葉です。ピカドール(picador)は馬に乗り槍で牛を刺して弱らせる役の闘牛士で、バンデリーレロ(banderillero)はカラフルな銛もりを突く役目のようです。もともとスペインの踊りが1916年~1925年くらいの間にフランスで発達し、その陰にはサルバドール(Salvador)として知られたスペイン人と、それを英国に広めたピエールの功績があったと(Concise)の資料に書いてあります。

★以前のパソでは、ダンサーたちはじっと立ったところからスタートしていましたが、ある年のブラックプール大会で、何か新しいことをしようと、私たちは音楽が始まる前からポーズを決めて踊り始めました。それが非常に観客の注目を集め、以来、今日に至るまでパソ・ドブレでは、みんな形を決めて始めています。(R.トラウツ)

★エネルギーを喉の辺りに保って、お尻を突き出すのはやめましょう。牛に殺されてしまいます。また、多くの人は闘牛士のマタドールをイメージするせいか、胸を張り、腰に大きなカーブを描くのも大きな間違いです。胸は下げ、足まで下ろすイメージで、胸骨を下へ下ろします。(D.バーンズ)

★この踊りでは闘牛士の誇り高さを表現する方法を探さなくてはなりませんが、それには静けさを出さなくてはなりません。静けさは闘牛士の自信を示すからです。多くの人が戦う姿勢や強さを見せようとし過ぎているように思えます。(H.ガルケ)

★パソ・ドブレでは、前進のフットワークは(ボール、フラット)でも良いですし、もし(ヒール、フラット)を使いたければそれもオーケーなのです。なぜなら、行進のアクションを演出したいのですからフットワークを変えることができるのです。(H.ガルケ)

 

 

399 バチャータ(Bachata)
ドミニカ共和国から生まれた音楽、および、その踊りのこと。

★ドミニカ共和国の中産階級の人々には受け入れられず、「下層階級のガサツなパーティー」の意味のバチャータと言う名がつけられました。この名前が使われる前の音楽は「哀しみの音楽(música de la guardia)」、あるいは「位の低い兵士の音楽(music of low ranking soldiers)」と称されていました。公式にではありませんが、かなり最近までドミニカ共和国ではバチャータの放映、放送が禁止されていました。(Street)

 

 

400 バツカダ(Batucada)
南米の音楽と踊りのひとつ。アマルガメーションとしてはポピュラー・バリエーション集(ラテン)のチャチャチャで紹介されています。

★私が思う問題は、男性であれ女性であれ、バツカダを踊っている人のスタンディング・レッグが見えないことです。スタンディング・レッグの使い方は二通りあり、後ろ足に持っていく場合はそのヒールを下ろし、前足にする場合は前足のヒールを下ろします。女性が違うように見せたい場合とか、違う解釈をしたい場合には両足トウで踊ることも可能です。しかしその場合でも、どっちがスタンディング・レッグか、はっきり見せてください。個人的には後ろ足に乗せる方を選んでいます。なぜなら、前足で作った抵抗を使ってボディ・ウエイトを後ろへ押すことができるからです。ブラジル生まれのアクションにおける考え方は、ボディを使い、ヒップを前方に使うことです。後ろへの動きは、それによって生まれたエネルギーのリアクションにすぎません。(B.ワトソン)

 

 

401 バック・コルテ(Back Corte)【T】
タンゴの基本フィガーのひとつ。男性はLODに沿って後退し、前進の形で終わります。

◆「モダン・ボールルーム・ダンシング(シルベスター著)」のリズム・ダンスの章に、回転をしないバック・コルテとダブル・バック・コルテが載っています。

★一時、回転を入れないバック・コルテが流行したことがあります。その場合、もう一度バック・コルテを繰り返し、今度は通常の左回転を入れて終わりました。(K.アクリル)

 

 

402 バック・コントラ・チェック(Back Contra Check)【T】
通常のコントラ・チェックでは男性が左足前進しますが、バック・コントラ・チェックでは女性が左足前進します。

 

403 バック・トゥ・バック・ポジション(Back-to-Back Position)【LA】
背中と背中を合わせるような形。ここでのバックは背中のことです。

 

404 バック・バランス(Back Balance)
体重が後ろに傾き、理想のバランスを失っている状態のことで、後退運動に限
らず前進運動でも起こります。➡414

◆後退のステップでバック・バランスにならないようにするには、「前足に体重がある状態で足を後ろに出し、その足が目的の場所に着いたときは中間のバランスにあり、両足が揃うときに後ろの足に体重が乗り切るようにします。

 

 

405 バック・フェザー(Back Feather)【F】
基本フィガーのひとつ。バック・フェザーでは女性が男性の、男性が女性のフェザー・ステップを踊ります。このとき、女性は男性のフェザー・ステップと同じフットワークで踊りますが、男性の場合は、2歩目のフットワークを(T)に変更します(女性のフェザー・ステップの2歩目は(TH)ですが)。これは前進してくる女性の高さに対応するためです。➡452

 

406 バック・ブレイク(Back Break)【LA】
マンボの女性のベーシック・ステップ前半(男性の後半)の動きのように、右足後退 → 左足に体重を戻す → 右足を揃える(あるいは前進)の動きのこと。バックワード・ブレイクとも言います。ラテン用語のチェックト・バックワード・ウォークと同じです。➡494

 

407 バック・ベーシック(Back Basic)【LA】
バック・ブレイクと同じ。ラテン系全般に使われる表現です。

 

408 バッセ・ドンス(Basse Danse)
1400~1600年頃の初期ルネッサンス期における雅で荘重な宮廷ダンス。当時の他の踊りに見られたような早いステップや跳び上がることがありません。パバーヌの踊りの前身。(Virginia)

 

409 パット・ア・ケーク(Pat-a-Cake)【C】
ポピュラー・バリエーション集(ラテン)のチャチャチャで紹介されているアマルガメーション。名称の意味は「ケーキを軽く叩く」。

 

410 バニー・ハグ(Bunny Hug)
1911年頃サンフランシスコで作られたと言われており、雄と雌のうさぎの交尾を真似た踊り。かなりエロチックに押し付け、揺り動かし、くねくねさせながら、スロー・テンポのブルースで踊るため、上品な社会層では大騒動となりました。(Street)

◆バニーはうさぎ(ラビット)の幼児語。ハグは抱き合うこと。

 

 

411 パバーヌ(Pavane)
16世紀に流行した優雅な宮廷舞踊。(Virginia)

★もともとはクジャクの動きをまねた踊りでした。(Complete)

 

 

412 ハバネラ・リズム(Habanera Rhythm)
ハバネラは19世紀にキューバで起こったダンス音楽のひとつ。
ルンバにおいてはカウントの取り方をハバネラ(音楽)のリズムに置き換えて踊る方法で、ファン・ポジションで終わるフィガーに用いられます。例えば、オープン・ヒップ・ツイストを踊るとき、始めの3歩は通常のカウント(2・3・4-1)で踊りますが、3歩目(4-1)の上で4歩目からの1/2カウントを使って長く留まり、続く4歩目を(&)カウントで素早くステップします。IDTA、ウォルター・レアード氏のテキストにその詳しい踊り方が載っています。

 

413 パラレル(Parallel)
「平行の」の意味の英語で、「両足をパラレルに揃える」とか、「二人のボディはパラレル・ポジションにならないようにする」と言う風に使われます。

 

414 バランス(Balance)
ダンスでは特に両足と、その上にある上体の均衡の取れた状態にあり、そこからいかなる方向へも、意のまま容易に動くことができる場所のことを言います。ポイズとも言います。

◆英語の意味は「均衡・調和」の他、「天秤・はかり」。語源はラテン語のbilanxからきており、biは「二つ」、lanxは「お皿」のことのようです。

ステーブル・バランス(Stable ~)とは、体の4ブロック(足から骨盤までの底辺部分、胸を含む胴体部、ショルダー部、そしてヘッド)を一列に積み重ね、両足で立つと得られる安定したバランスのこと。ダイナミック・バランス(Dynamic ~)とは、体の4ブロックをバラバラに使いながら動きに変化をつけながらも、自分の足の上での体のコントロールを失わずにいるバランスのこと。コントラ・バランス(Contra ~)とは、ボディの一部が一方に動くとき、ボディの別の一部が反対方向に動いてバランスをとること。オフセット・バランス(Offset ~)とは、最初は安定したバランスからボディを動かし続けていくと、もはや元の形に戻ってくることができない所へ行きます。これをオフセット・バランスと言います。(H.ガルケ LA)

★最適なバランス・ラインから外れてしまうと、背中の表面についている大きな筋肉に仕事を委ねてしまいます。これはダンスの観点からすると、柔軟性のない固まった背中になってしまいますので、良いダンスをしようと思ったなら、背中の深い所にある群筋を、目一杯ではなく、必要な分だけ使うことが重要になるのです。(オリバー ST)

★ダンスですべきことは、筋肉を緊張させたり関節を固めたりして頑張ることなく、片足の上で完璧なバランスが取れるようにし、結果、柔軟性を備え持つ体のパーツを自由に最大限に動かせるようにすることです。(オリバー ST)

★良いバランスを作るには二つの足が大きな役割を果たします。まずひとつの要素として個々のバランスがあり、もうひとつの要素として、カップルとしてのバランスとコントロールがあります。(L.バリッキ ST)

★危ないバランス:ある先生から「サイコロとボールではどちらが動きやすいと思いますか?」と聞かれたことがあります。勿論ボールですが、この先生は「サイコロのようにしっかり安定した所にいると「どっこいしょ」と動かなければいけないけれど、ボールだとすぐに動き出せます。それと同じで、バランスは取れているけど、いつでも動き出せる危ないバランスを探して踊るのが大切なのです」と話してくださいました。(サークルで)

 

 

415 ハリー・フォックス(Harry Fox)
1882年5月25日生、1959年7月20日死去。カリフォルニアの劇場ダンサー、かつ、コメディアン。彼の名を最も有名にしたのはダンスのフォックストロットで、1914年に出版された「ダンス狂(F.L.クレンデネン著)」には「フォックス氏が踊った“フォックストロット”」と記載されている。彼はポピュラーソングを幾つか歌い、無声映画にも登場。初期の音の出る映画“ハリー・フォックスと彼のアメリカ美人たち”などに出演しました。

 

416 バリーション(Variation)
1. バリエーションという言葉は、そのままの形で私たちの生活に浸透していますが、日本語訳は「変種、変り種」。ダンスでは、あるフィガーの様々な組み合わせなどを指します。例えば、ワルツのスピン・ターンを考えるとき、「スピン・ターンからターニング・ロックを続け、PPになって中央斜めにウィーブ・フロム・PPに入る」あるいは、「スピン・ターンからリバース・ピボット~ダブル・リバース・スピン~オープン・テレマークに続ける」などをバリエーションと言います。

★バリエーションは優れたムーブメントを伴わなければ殆ど意味のない物でしかありません。残念ながら多くの下位クラスのダンサーたちは、基本フィガーを犠牲にしてまで上級者たちのバリエーションを多用していますが、それは単に物まねでしかありません。結果、ムーブメントを向上させることができませんから、ただステップしているだけで踊りになっていないのです。(L.スクリブナー)

2. ベーシック・ステップを変化させたもので、スタンダード・バリエーション、ネームド・バリエーション、ポピュラー・バリエーションなどがあります。

 

 

417 バルセ・ア・デュ・テン(Valse á deux temps)
1830年代にウィーンの宮廷でデビューを果たし、1850年代にとても流行したワルツ。仏語でdeuxは2の意味ですが、3歩踏みます。当時のギャロップと同じ踊りでしたが、ワルツの音楽で踊るためアクセントの置かれる位置が違いました。(Street)

 

418 バルソビエンヌ・ポジション(Varsovienne Position)【LA】
男性が女性の左後ろに立つシャドー・ポジションで右手と右手、左手と左手を取り合う形。単にバルソビエンヌと言うこともあります。

★バルソビエンヌは Varsoviana とも綴り、ゆったりとした優雅な3/4拍子の踊りでワルツとマズルカとポルカの要素を合わせています。1850年頃にポーランドのワルシャワで起こり、Varsovienne(仏語)、Varsoviana(西語)どちらも「ワルシャワから」と言う意味です。(Wikipedia)

 

 

419 パレイ・デ・ダンス(Palais de Danse)
仏語でダンスホールのこと。

 

420 バレル・ロール(Barrel Roll)
バレルは「樽」。樽を転がすような、平ではない回転をします。下記雑学に書いたフィガーを除き、一般的にはフィガー名としてではなくボディ・アクションとして用いられる言葉で、ボディ・ロール(Body Roll)と同じと捕らえることができます。

◆「スタンダードでのバレル・ロールの起こりはクイックステップで、クイック・オープン・リバース ~ スリップ・ピボット ~ クイック・オープン・リバースでボディ・ロールを使ったのが始まり」と、リチャード・グリーブ氏に教えて頂いたことがあります。

◆ポピュラー・バリエーション集(ラテン)のサンバには「リバース・バレル・ロール」が紹介されています。説明を読んでみると、腰からのボディ・ロールを用いて踊るリバース・ターンとあります。これは現代のテキストに出ているリバース・ロールと同じです。

◆ジルバで両手を取り合ったまま横方向に振り上げ、その下をくぐる動きもバレル・ロールです。拙書「サークルで上達するボールルーム・ダンス(ラテン編)」ではフェリス・ホイールとして紹介しました。

 

 

421 バンデリラス(Banderillas)【P】
パソの基本フィガーのひとつ。

◆バンデリラスは闘牛に用いられる銛(もり)のことで、これを牛の首や脇腹など、最初に刺された槍の近くに刺します。このスペイン語の意味は、「小さな旗」のようです。

 

422 ハンド・トゥ・ハンド(Hand to Hand)【R/C】
ルンバとチャチャチャの基本フィガーのひとつ。英語の意味は「手から手に」とか「接近して」の意味。「手に手を取って」はハンド・イン・ハンド(hand in hand)で、少しだけ違います。

 

423 ハンマーロック(Hammerlock)【Salsa】
女性の片腕を背中の後ろでねじる感じの技。レスリング用語からの転用。

 

 

424 ビート・バリュー(Beat Value)
拍子、および、拍子の持つ長さのこと。例えば、「ワルツのシャッセ・フロム・PPのカウントは(12&3)で、そのビート・バリューは1、1/2、1/2、1 である」と言う風に使います。タイム・バリューとも言います。

 

425 ヒール・ターン(Heel Turn)【ST】
主に女性が用いる内回り回転のひとつで後退の1歩目のヒールを使って回転します。フォックストロットの女性のリバース・ターンを例にとると、右足トウで後退 → 右足ボールで回転開始 → 右足ヒールで回転。この間に2歩目左足ヒールを引き寄せながら右足に揃え、体重を移動します。1歩目から左足ヒールを揃えて一緒に回ろうとすると、両足が引っかかり、回転できずに終わります。

◆テキストでは2歩目の所に「ヒール・ターン」と記載されていますが、2歩目だけがヒール・ターンではなく、その前のステップも含んでいます。『モダン・ボールルーム・ダンシング』(シルベスター著)では両方のステップに対してヒール・ターンと記されています。

★とても上手な女性と言うのは、足でフロアを優しくなでるのよ。ヒール・ターンでは、ゆっくりと足を閉じます。(ボビー)

★スローのリバース・ターンの女性の踊り方のヒントです。一人でヒール・ターンできるようになることは絶対条件ですが、そのとき気をつけるポイントは、

① 上体と顔の関係を保ったまま1歩目は真っすぐ後退してみてください。左回転を意識すると上体が捻れたり顔が体より左を向いたりしてしまいます。また、この後退でトウを内側に向ける、「トウ・ターン・イン」の方法を教わることがありますが、これも適度にやらないと上体が右に傾いて捻れることになります。もし、この問題にぶつかり、その解決策を探しているのでしたら、トウを少し外側に向けて後退してみてください。安定したヒール・ターンに入れる、結構お勧めの方法です。

② 歩目右足に体重が移動しかかったとき、前にある左足はヒールになっていることも絶対条件です。トウやボールだと体重が前に残り、男性の前進を邪魔してしまうからです。③次に、男性と組んで踊るとき「ヒール・ターンしようと思わない」ことをお勧めします。しようとすると積極的に左足を引くため、男性を引っ張ってしまいます。ここは内回りですから頑張らないのが賢明です。フェザー・ステップ最後の左足の上にいながら、男性が出てくる分だけ右足を後退しようと心がけ、1歩目右足に乗りながら左足(今、ヒールになっています)の力を抜き、「どうぞお好きな所に私の左足を連れてって」とでも考えながら放っておけば、奇麗なヒール・ターンができます。これは、ナチュラル・ターンのヒール・ターンでも同じです。(サークルで)

 

 

426 ヒール・ピボット(Heel Pivot)【ST】
男性が後退した右足ヒールで左回転し、その間に左足を右足に揃え、体重を乗せ変えず、次に左足から前進する踊り方。女性のフィガーにヒール・ピボットは出てきません。この踊り方は以前はクオーター・ターンズ(8歩構成)と、シャッセ・リバース・ターン(6歩構成)の後半に含まれていましたが、現在のテキストからは省かれ、クオーター・ターン・トゥ・レフト、あるいは、ヒール・ピボットとしてひとつのフィガーになっています。➡440

 

427 ヒール・プル(Heel Pull)【ST】
左足後退してから、右足のヒールを床から離さないように引き寄せる技術で、男性が内回りする右回転のフィガーにしか現われません(例:フォックストロットのナチュラル・ターンの5歩目)。ヒール・プルではライズをしませんが、スウェイは用います。このときのスウェイは足からではなく、腰からのスウェイを使うためブロークン・スウェイと呼ばれています。➡492

 

428 ヒール・リード(Heel Lead)
ヒールから前進すること。例えば、ワルツのシャッセ・フロム・PPで男性が4歩目をヒールから出ていた場合、「あの人は間違えてヒール・リードをしている/使っている」と表現します。トウから出るときはトウ・リードと表現します。

 

429 ビギン(Beguine)
1930年代に流行したルンバを遅くしたような踊り。

◆曲名「ビギン・ザ・ビギン」の初めのビギンは「始めよう」の意味で、後のビギンが踊りです。

★グアドループ島とマルチニク島(カリブ海、仏領)で発生。マルチニク・ビギンはゆっくりとした密着型のダンスでヒップをロールさせます。もしコール・ポーター(Cole Porter)がビギン・ザ・ビギンを作曲しなければカリブ海を越えた所の人々は思い出すことはなかったでしょう。(Street)

 

 

430 ビクター・シルベスター(Victor Marlborough Silvester 1900~1978)
英国生まれ。ダンサー、作曲家、指揮者。ISTD創立メンバーの一人。英国ミドルセックス、ウェンブレーの教区牧師の次男として生まれ、14歳のときに家出し18歳と偽って第1次世界大戦中の英国陸軍に志願。2年間フランスで実務に就いた後、1917年にイタリアで負傷。このとき初めて彼の実年齢がわかってしまいました。復員後は、子供の頃からピアノの個人レッスンを受けていたので、トリニティ・カレッジで音楽の勉強をしましたが、じきに興味はダンスへ移行し、ハロッズのジョージアン・レストランでダンス・パートナーを務める仕事につきました。1922年12月22日に開かれた第1回世界モダン・ボールルーム・ダンス選手権で優勝。そのときのパートナーはフィリス・クラーク(Phyllis Clarke)でしたが、それはドロシー・ニュートン(Dorothy Newton)と結婚して数日後のことでした。この選手権には1924年にも出 場しましたが、そのときはダブル・リバース・スピンの発案者で知られているマクスウェル・スチュワート&バーバラ・マイルズ組(Maxwell Steward & Barbara Miles)に破れ準優勝でした。

彼はダンスに適した音楽がないことに不満を抱き、1935年に5人構成のバンドを結成し(後のビクター・シルベスター・ボールルーム・オーケストラ)、ISTDが推奨した演奏テンポに固執しました。「ストリクト・テンポ(標準テンポ)」は彼がつけた言葉です。そのバンドが最初にリリースしたレコード、「ユー・アー・ダンシング・オン・マイ・ハート」はオーケストラのテーマソングとなり、「スロー・スロー・クイック・クイック・スロー」は彼のキャッチフレーズとなりました。

参照文献
●DANSON RECORDS DS052 “SIXTY YEARS ON”(1982)LPジャケット
●Victor Silvester’s ‘BBC Dancing Club’ by ritsonvaljos
● MODERN BALLROOM DANCING 

◆1928年に出版された彼の『モダン・ボールルーム・ダンシング』の最新版は2005年に、翻訳版が白夜書房から発刊されています。

 

 

431 ピクチャー・ステップ(Picture Step)
コントラ・チェックやスローアウェイ・オーバースウェイなどのように、カップルのラインを見せ場とするフィガー。一瞬静止して見えることもありますが、完全に静止しているわけではありません。ピクチャー・ポーズ(Picture Pose)、ピクチャー・フィガー(Picture Figure)、ピクチャー・ライン(Picture Line)、ライン・フィガー(Line Figure)、あるいは単にライン(Line)とも言います。

★もともと英国スタイルのボールルーム・ダンスは、美しい形と流れるようなムーブメントに基づいていましたが、1950年頃になると見ている人を楽しませるスタイルに発展していきました。ロンドンの大きなホテルで観客を楽しませるデモンストレーションを踊っていた当時のチャンピオン、ウォリー・フライヤー(Wally Fryer)やレン・スクリブナーたちはエンターテイメント的要素の必要性を見いだし、スクリブナーが表現するところの「キャバレー・スタイル」を発展させ、ラインやピクチャーを多く取り入れました。このようにしてライン・フィガーが発展してきたのです。(R.グリーブ)

★ピクチャー・ステップを踊るとき女性は、その形をイメージして入っていくと失敗しますが、入るまでのステップをきちんとこなすと綺麗な形になります。ピクチャー・ステップの形は動きの結果でしかないからです。(サークルで)

 

432 ビジュアル・リード(Visual Lead)【LA】
男性と女性が離れて踊るとき、男性が体の表現を使って行なうリードのこと。ビジュアルとは英語で「視覚による」の意味。➡605

★離れて踊るとき、お互いを意識するには目を使う必要が出てきます。単に女性が男性に反応するだけではなく、踊りの中にストーリー性や踊りの特性を作り出すことができるようになります。(G.ハーン)

 

 

433 ビッグ・トップ(Big Top)【ST】
PPから男性が1歩目の右足を軸に(左足は右足後ろに)左回転を始める踊り。フィガー名の意味は「大きな独楽(コマ)」。男女が作り出す動きを表現しています。

★ビッグ・トップはルンバ・クロスの左回転バージョンとして考案されました。そのため、初めはリバース・ルンバ・クロスと呼ばれていたのです。(オリバー)

 

 

434 ヒップ・アクション(Hip Action)【LA】
ラテンにおける腰の使い方、動かし方。ヒップ・ムーブメント(Hip Movement)も同じ意味です。

◆英語のヒップは「お尻」ではなく「腰」です。ヒップを動かす場合、ラテンでもスタンダードでもあばら骨からが腰骨の領域を考えると良いと思います。

★私は5種類のヒップ・アクションがあると思っています。ひとつ目はペンジュラム・アクションで、体重を左右に移動するときに起こります。二つ目は回転を起こす足に体重移動したときに起こるローテーショナル・アクション。三つ目は両足に立ちヒップをツイストさせるツイスティング・アクションで、骨盤がスパインを中心に回転すること。四つ目は骨盤の傾き、即ちペルビス・ティルトです。五つ目はスタンディング・レッグにあるときに起こるヒップ・スイングです。最初のペンジュラムとローテーショナル・アクションを合わせるとキューバン・モーションになります。(H.ガルケ)

 

 

435 ヒップ・ツイスト(Hip Twist)【LA】
上半身より腰のひねりを多くすること。ヒップの回転と同じだけ肩を回すのでも、肩をヒップより多く回すのでもありません。クローズド・ヒップ・ツイストはクローズド・ポジションから始めてファン・ポジションで終わり、オープン・ヒップ・ツイストはオープン・フェイシング・ポジションから始めてファン・ポジションで終わります。アドバンスト・ヒップ・ツイストはクローズド・ヒップ・ツイストの仲間で、オープニング・アウトの1歩目で男性は左足前進する形になります。

★チャチャチャの元となったワラチャでは、このフィガーはザ・シャトル(The Shuttle)の名で知られていました。(Concise)

 

 

436 ヒップ・ツイスト・シャッセ(Hip Twist Chasse)【C】
基本フィガーのひとつ。ファン・ポジションで終わるすべてのフィガーの中で男性が用いることができます。踊り方は、右足後退 → 左足に体重を戻す → 右足、左足を横切ってステップ → 右足に左足を揃える → 右足を横にステッ プします。また、クローズド・ヒップ・ツイストの女性の3~5歩のステップ。

 

437 ヒップ・バンプ(Hip Bump)【LA】
ヒップとヒップを軽くぶつけ合うアクション。ジャイブなどで用いられます。バンプは「ぶつける、ぶつかる」こと。車の「バンパー」はこの言葉からきています。

 

438 ヒップ・ロール(Hip Roll)【LA】
腰をぐるりと回す女性の使うアクション。マンボやサルサで使われます。

 

439 ピボッティング・アクション(Pivoting Action)
➡440

 

440 ピボット(Pivoting)とピボッティング・アクション(Pivoting Action)
ピボットとは片足で行なう回転で、このとき、もう一方の足が前、または、後ろにCBMPの形に保たれます。回転量は1/4から最大1/2まで可能です。英語の意味は「旋回軸」。

一方、ピボッティング・アクションとは、相手がピボットしたときにもう一方の人が行なう、ピボットに似ている動作のことです。例えば、クイックステップのナチュラル・ピボット・ターンをみると、男性が4歩目左足でピボットするとき右足はCBMPに保たれています。女性も4歩目右足でピボットに似たアクションを起こしますが、ホールドの形態上、左足をCBMPに保つことができないため、厳密にはピボットと言うことができません。これをピボッティング・アクションと言います。このピボッティング・アクションは右回転のピボットで起こります。左回転のピボット、例えば、リバース・ピボットやプロムナード・ピボットでは男女共にピボットします。

★お互いのポジショニングと正しいスペースを意識することが大切です。上半身と下半身はしっかりコネクションを持ち左足に向けて踊ります。力を入れるのは1回きりで、まず私が左足に向けて力を注ぎ、次にパートナーがやります。前進ではパートナーが引き込んでくれるのに任せていれば良いのです。筋肉や力やアームで引っ張るのでなく、体重で引っ張るのです。(L.バリッキ/タンゴの話の中で)

 

 

441 標準テンポ
➡245

 

442 ヒンジ(Hinge)
男性はオーバースウェイを踊り、女性はレフト・ウィスクの形を作ります。➡431

◆ヒンジは英語で「蝶番(ちょうつがい)」の意味。男性の右サイドで作るナチュラル・ヒンジもあります。また、ヒンジの概念からすると、エックス・ライン、エロス・ライン、スローアウェイ・オーバースウェイなどもヒンジの仲間になります。

★レフト・ホイスクでもっと人を楽しませようと大きく踊ったのがヒンジの始まりです。ヒンジでは男性は右足の位置を変えずにレフト・ホイスクと同じようにヒップを回転させます。そうしたボディやヒップによる回転運動が女性にウエイトを右足から左足に乗せ換えさせます。(R.グリーブ)

 

 

443 ファロル(Farol)【P】
➡497

 

444 ファン(Fan)
1. ルンバやチャチャチャで、前半にベーシック・ムーブメントの3歩を踊ってからファン・ポジションになるフィガー。

◆ファンの意味はご存知の通り『扇、扇子、うちわ』です。辞書を引くと、ファンの語源に『穀物をあおぎ分けるカゴ、うちわ』とあります。収穫後の作業からきた言葉なのですね。誰々のファンやファン・クラブのファンも同じ綴りですが、こちらはfanatic(ファナティック = 熱狂的支援者、マニアの意味)の短縮形です。

★これは、キューバ人が使っていたエル・アバニコ(El abanico)の直訳です。(Concise)

2. タンゴのフィガー名。「イン&アウト」あるいは、「イン&アウト・アクション」とも言います。

 

 

445 ファン・ポジション(Fan Position)【LA】
ファンに開いた形。女性は男性の左真横に位置し、男性の左サイドに対して自分の正面が直角になる形をとります。オープン・ヒップ・ツイストの最後はこの典型的な形です。

◆ファン・ポジションからの女性の1歩目は左足に閉じますが、「なぜそうしなければいけないの?」と思ってしまいます。「テキストでそうなっているから」というだけではなく、次のような歴史を知っておくと楽しいかもしれません。これはISTDの資料の中に見つけたものです ―― 「ピエールのオリジナル・テクニークでは、ルンバにおけるアレマーナ、ホッケー・スティック、オープン・ヒップ・ツイスト、スリー・スリーズなどでの女性の1歩目(カウント2)は、右足を左足に閉じるか、あるいは、左足後ろにきつくクロスしてもよく、どちらを使うかは女性の好みの問題でした。ピエールとミス・ラベルはルンバのフィガーをチャチャチャにも応用したため、この方法はチャチャチャの2~3のフィガーでも適用されました」。

 

 

446 フィガー(Figure)
幾つかのステップから構成されるひとつの踊り。例えば、ルンバのオープン・ヒップ・ツイストは6歩のステップから成り立つフィガーといえます。しかし、スリップ・ピボットやリバース・ピボットのように1歩しかないのにフィガーとして扱われているものもあります。ステップもフィガーと同義語で使われることもあります。フィギュアとも書きます。

 

447 フィガーヘッド(Figurehead)【LA】
英語の意味は「(昔の船の船先につけた)船首像」で、ダンスでは女性が、その船首像の形を作ること。女性は片足で立つことも、両足で立つこともあります。➡431

 

448 フィガラティブ・スウェイ(Figurative Sway)【ST】
スイングをコントロールするためではなく装飾的に用いるスウェイで、主にタンゴで使われます。フィガラティブとは「比喩的な、文字通りでない」の意味の英語です。➡224

 

449 フィジカル・リード(Physical Lead)
男性がボディ・コンタクトを通して行なうリード。例:ルンバ、オープン・ヒップ・ツイストの1歩目や3歩目のように、繋いだ手を通してお互いに圧がかかる瞬間のところ。フィジカルとは英語で「体の、肉体の、物理的な」の意味があります。➡605

★男性はフィジカル・リードで女性に行く方向や、タイミングを伝えますが、本当にパートナーを持っていくことではなく、彼女自身に動いてもらうようにすることです。(B.ワトソン)

 

 

450 フィッシュ・ウォーク(Fish Walk)
かつてあった踊りのひとつ。フォックストロットは以前、このフィッシュ・ウォークやホース・トロットの名で知られていました。

◆1901年、ビクトリア女王が亡くなると社会全体はより自由を感じ、よりエネルギッシュなダンスに没頭しました。そしてシンプルな一連のダンスが白人社会でも流行し、その中には動物の名前を付けた踊りが多くありました。例えば、イーグル・ロック、フィッシュ・ウォーク、バニー・ハグなどです。バニー・ハグは現在のジャイブにもステップとして残っています。こうした踊りでは、2拍目と4拍目にアクセントをつけ、シンコペーションしたラグタイム音楽で踊り、ウォークしたりロックしたり、バウンスやスウェイも使いました。当時、クローズド・ポジションはとてもみだらと考えていたため、ボディ・コンタクトを防ぐためにバンパーのような防御服を身につける女性も現れました。(Street)

 

 

451 フィッシュテイル(Fishtail)【Q】
クイックステップの基本形フィガーのひとつ。他に、ツー・フィッシュテイル、バック・フィッシュテイルなどもあります。フィッシュ・テイル(Fish Tail)と2文字で表記することもあります。

◆英語の意味は文字通り「魚のしっぽ」ですが、お尻を振って歩く様や飛行機の着陸時の尻振り滑走のことも言うようで、確かにこのフィガーはそんな動きをしています。回転を入れずに踊ることもできます。

◆このフィガーのライズ&フォールはヘンリー・ジェイクス氏が考案した当時から1の終わりでライズをします(2~6はアップ、6の終わりでロアー)。つまり男性が1歩目右足の上で(比較的膝を緩めたまま)ライズすることで、女性2歩目の右足が左足に引き寄せられる美しい踊り方をします。残念ながら今日の競技会で見るフィッシュテイルは単なるチェック・アクションにしか見えないと長いこと思っていたところ、オリバー・ヴェッセル氏が2009年ブラックプール・コングレスの中でこの指摘をしているのを見つけ、少し心強く思いました。一人でも多くのダンサーがフィッシュテイルらしいフィッシュテイルを踊ってくれることを願っています。

 

 

451-1 ツー・フィッシュテイル(Two Fishtails)
フィッシュテイルを2度続ける踊り方ですが、1回目は男性の後退で踊るバック・フィッシュテイルです。

 

451-2 バック・フィッシュテイル(Back Fishtail)
回転のないフィッシュテイルを、男性が女性の、女性が男性のパートを踊ります。

 

452 フェザー(Feather)【F】
単にフェザーと言うときはフェザー・ステップを指す場合が多いです。

 

453 フェザー・エンディング(Feather Ending)【F】
PPから入るフェザー・ステップのこと。テキストに見るフォックストロットのオープン・テレマークは「フェザー・エンディング付き」となっていて、前半はワルツと同じ3歩のオープン・テレマークを踊り、後半はPPからフェザー・ステップにつなげます。2011年版IDTAテキスト(Technique of Ballroom Dancing)では単独のフィガーとして取り上げられています。➡452

★もともとはフェザー・フィニッシュと言われていました。(K.アクリル)

 

 

454 フェザー・ステップ(Feather Step)【F】
3歩(テキストによっては4歩)構成のフォックストロットの基本フィガーで、単にフェザーと呼ぶこともあります。「フェザー」は羽根の意味です。➡452

◆このフィガーは1920年、G.K.アンダーソン氏により紹介されました。➡011

◆このフィガーの描くわずかな右回転の軌跡が、横から見た羽根のように見えるためこの名がついたと言う説が主力ですが、英語のウィキペディアには「フェザー・ステップの名はボートでオールを水平に抜くフェザー/フェザリング(オールのブレードを水平にして空気抵抗を少なくする動作のこと)に由来する」と出ていました。参考まで。

★男性はフェザー・ステップの2歩目に向けて左サイドをストレッチすることに意識を向けがちですが、そうすると体重を後ろに落としてしまいます。実際のアクションは右背筋が1歩目の上に踊り移ることで、左サイドのストレッチはあくまでもその結果なのです。(L.バリッキ)

★1920年代初め、ジョセフィン・ブラッドリーがフェザー・ステップを考案した頃、フェザー・ステップは常に右回転、続くスリー・ステップは常に左回転しジグザグに踊っていました。このフェザー・ステップができる前は、ロック・ステップからスリー・ステップをイン・ラインで踊り通していたのですが、パートナーのG.K.アンダーソンが足をロックしそこなってアウトサイドにステップしたのがきっかけで、フェザー・ステップができました。(ビル・アービン)

★フェザー・ステップの原型はロック・ステップの一種でしたが、あるとき、一人の男性が履いていたエナメルの靴が引っ掛り、彼はやむなくアウトサイドにステップしてしまったのですが、これがフェザー・ステップのテクニックとして受け入れられるようになったのです。(オリバー)

★フェザー・ステップはフォックストロットの中でも、最も美しいステップのひとつです。最も繰り返し練習するステップで、きっとレッスンで一番お金も掛かっていることでしょう(笑)。(ロレイン)

★フェザー・ステップを(SQQ)と踊ったつもりが、次のフィガーへ早く入ってしまうことがあります。一般的には1歩目の(S)カウントを短く踊ってしまうからですが、この対処法としてカウントを(S&QQ)とするのは良い方法です。「スロー・アンド(= S)」と口にすると「クイック」と言う言葉の2倍の長さになるからです。類似の方法として(S)を(1・2)、(QQ)を(3・4)と数えたり、(S)を「スローリー」としたりする方法もあります。以前、ステファン・ヒリヤー氏のレクチャーで、「男性は右足Sのヒールをできるだけ長く床につけておく」といった方法が紹介されていましたが、これも参考になるかと思います。(サークルで)

 

 

455 フェザー・フィニッシュ(Feather Finish)【F】
フォックストロットのリバース・ターンの4~6歩目の踊り方を言いますが、2011年版IDTAテキスト(Technique of Ballroom Dancing)ではひとつのフィガーとして取り上げられています。リバース・ターンは6歩構成のままです。➡452

★左へのオープン・ターンが登場しヒール・ピボットにつなげて踊られていましたが、ヒール・ピボットでエナメルの靴が引っかかり、そこからフェザー・フィニッシュが生まれたのです。1927年、フランク・フォードが踊っていたときのことでした。(オリバー)

★フェザー・フィニッシュで女性は、男性を通り越そうと前方へスイングしていくのよ。(ボビー)

★フェザー・ステップやフェザー・フィニッシュ、あるいはスリー・ステップをゆったり踊るようにするには、カウントを(SQQ)から(SS&)と変えて踊ってみると良いです。こうしたテクニックは他にも応用できます。(サークルで)

 

 

456 フェンシング(Fencing)【R】
ルンバの基本フィガーのひとつ。フィガー名はスポーツのフェンシングからきています。

◆フェンシングは剣を使って戦う競技ですが、元の意味は「守るための行動をすること」で、この語からスポーツ用語のディフェンス(defense)も派生しています。「守るため」と考えると、「囲い」のことをフェンスと言うのも納得できることでしょう。

 

 

457 フェンス・ライン(Fence Line)【LA】
ルンバでフェンシングをしたときの形。後ろの手をつなぐこともあります。逆向きもあります。

 

458 フォー・クイック・ラン(Four Quick Run)【Q】
クイックステップの基本フィガーのひとつ。男性の踊り方は、右足後退(S) → 左足横少し前にステップ(Q)→ 右足をOPに前進(Q)→  左足斜め前にス テップ(Q)→ 右足を後ろにクロス(Q) ― と、4つ(Q)カウントでステップするフィガー。

◆「女性のフォー・クイック・ラン」と言うのがポピュラー・バリエーション集に出ています。これは男性が女性のフォー・クイック・ランをする踊り方です。当然、女性は男性のステップを踏みます。

 

 

459 フォー・ステップ(Four Step)【T】
タンゴの基本フィガーのひとつ。

◆タンゴの基本フィガーのひとつですが、昔のヘンリー・ジェイクス氏の本ではアウトサイド・リンク・ステップ(Outside Link Step)となっています。

 

 

460 フォー・ステップ・チェンジ(Four Step Change)【T】
タンゴの基本フィガーのひとつ。

◆小刻みするタンゴらしい動きが魅力的で、トップ・ダンサーたちもよく使っています。ヘンリー・ジェイクス氏の本の中にハバネラ・チェンジ(Habanera Change)というフィガーがあり、私はこれがフォー・ステップ・チェンジの原型ではないかと思っています。ハバネラ・チェンジでは男性3歩目左足トウを右足の土踏まずの辺りに下げ、4歩目右足でタンゴ・ポジションにしています。

 

 

461 フォーメーション(Formation)
フォーメーションがいつ、どこで発生したかは定かではありませんが、1920年~1930年にはドイツ、イギリス、フランスで行なわれています。当時は4組で同じフィガーを同じタイミングで踊り、複雑な隊形の変化はありませんでした。今日では6組、あるいは8組が理想とされています。第二次世界大戦後、フォーメーションはさらに発展し、競技会が行なわれるようになり、英国では1957年のオープン・ブリティッシュから正式種目となっています。ラテンのフォーメーションが加わったのは1961年のブラックプールからで、以来、ブラックプールのプログラムに含まれるようになりました。(DancePlaza.com)

 

462 フォーラウェイ(Fallaway)
PPの形で後退する動きのこと。ルンバのアイーダの別称にも使われます。パソではセパレーションの終わり方としてフォーラウェイ・エンディングもあります。ジャイブの通常のベーシックはベーシック・イン・フォーラウェイ、あるいは、フォーラウェイ・ロックと言われます。

◆英語の意味は「何かに背くこと、離れ去ること」。つい「ファーラウェイ(Far away)」と言ってしまうことがありますが、それは「遠くに離れて、夢見るような」の意味で別物です。

 

 

463 フォーラウェイ・ウィスク(Fallaway Whisk)【W】
バック・ウィスクとよく似た踊り方をしますが、バック・ウィスクしたところから更に右回転が継続します。

★チャールズ・シーボルトはウィスクを更に発展させた人で、左回転のチェックとして使ったのがレフト・ウィスクです。その後、バック・ウィスクやフォーラウェイ・ウィスクが考案されるのは時間の問題でした。(オリバー)

◆テキストによる二つの踊りの違いを比較してみましょう。

 

 

464 フォーラウェイ・スローアウェイ(Fallaway Throwaway)【J】
ジャイブの基本フィガーのひとつで、ベーシックの動きから女性を男性の右側から左側へ送り出す動き。ベーシックのPPで後退する動きがフォーラウェイ、そこから女性を送り出す動きをスローアウェイと言います。スローアウェイは「放り出す」の意味です。

★もとの名はスローアウェイ・フロム・フォーラウェイ(Throwaway from Fallaway)でした。(Concise)

 

 

465 フォーラウェイ・ポジション(Fallaway Position)
後退からフォーラウェイになった形のこと。

 

466 フォーラウェイ・リバース&スリップ・ピボット(Fallaway Reverse & Slip Pivot)【F】
テキストではスロー・フォックストロットで取り上げられていますが、ワルツ、クイックステップ、タンゴでも広く頻繁に使われる人気の高いフィガーのひとつです。

★コーナーに向かってワルツのウィスクから(新LODに沿って)前進しようとし た男性が3歩目でバランスを崩し、3歩目をロアーしてから右足を引いてピボットをしたのがフォーラウェイの始まりでした。このときのピボットはアンダーターンで、次に逆壁斜めにテレマークして抜けていきました。これを同じLODに沿って踊るようにしたのが現在のフォーラウェイ・リバース&スリップ・ピボットですが、スリップ・ピボットの回転量が大きくなっているため、男性は右足でピボットを完了しようとすると上体が捻れてしまいます。コツは、回転しようとしないでできるだけトウ・ターン・インして置くことです。(S.ヒリヤー)

★(男性の)脚部は前方への感覚が強く、左サイドは後方への感覚が強いのです。(女性は)左サイドと左ショルダーを後ろに保ちながら、僅かに後ろへ引かれていく感覚です。(L.バリッキ)

★フォーラウェイ・リバース&スリップ・ピボットでは、男性は2歩目で女性を通り過ぎます。3歩目は自分のボディの下に置くだけで、それ以上出ていくべきではありません。(オリバー)

★フォーラウェイ・リバースで女性として理解しておくことは、自分だけではなく男性の第1歩も、回転の内側にいる、ということです。つまり、二人ともインサイド・ターンに入ります。勿論、この1歩が終わるとすぐに、男性の進行方向が変わり、男性はアウトサイド・ターンになり、そして女性はインサイド・ターンに向けてのアクションを起こすことになります。(ロレイン)

★クイックステップでのフォーラウェイ・リバースの女性はただ歩くだけ。積極的にならないで。(ボビー)

 

 

467 フォール(Fall)【ST】
現在の位置より低い所へ移動する運動のこと。ライズ&フォールの「フォール」がそれを示していますが、実際の説明の中ではフォールではなくロアーの言葉が使われます。

 

468 フォックストロット(Foxtrot)
20世紀に誕生したフォックストロットはハリー・フォックスというアメリカのダンサーの名から付けられたというのが定説になっています。一方、フォックストロットが出たのがターキー・トロットやホース・トロットのような動物の動きを模した様々なダンスが登場した時代であったので、フォックストロットもFox’s Trot(きつねの小走り)からきたと唱える人たちもいます(SBPD)

★1分間に50~52小節だったクイックステップから枝分かれしてからテンポはどんどん遅くなり、20世紀末には32小節までになりました。第1次大戦の終わり頃のスロー・フォックストロットはウォーク、スリー・ステップ、それにスロー・カウントのウォークと一種のスピン・ターンから成り立っていましたが、1918年にジャズ・ロールで知られる所の変動が起こり、1919年にアメリカ人のモーガンという人がオープン・スピン・ターンの一種のモーガン・ターンを紹介し、1920年には、フェザー・ステップとチェンジ・オブ・ダイレクションをG.K.アンダーソンが紹介しました。そして1930年代はフォックストロットの黄金期を迎え、テンポも標準化されたのです。(DanceSport)

 

 

469 フォックストロットのナチュラル・ターン(Foxtrot Natural Turn)【ST】
3歩目で足が揃わないスロー・フォックストロットに使われるナチュラル・ターンのこと。オープン・ナチュラル・ターン、パッシング・ナチュラル・ターンとも言います。

 

470 フォロー(Follow)
1. あるフィガーの後に続けることのできるフィガーのことで、複数ある場合にはフォローズになります。日本語では後続フィガーとか、単に後続と言います。➡498   

2. ➡605

 

 

471 フォロー・マイ・リーダー(Follow My Leader)【C】
ISTDのテキストに出てくるチャチャチャの基本フィガーのひとつ。直訳は「私のリーダーについてゆく」です。それも正しいのでしょうが、子供の遊びで大将になった子の動作をまねる「大将ごっこ」のことです。

 

472 フォワード(Forward)
「前方へ」の意味の英語。

 

473 フォワード・ブレイク(Forward Break)【LA】
前進のステップ → 元の足に体重を戻す →  揃えるか後退する動きのことで、サルサに使われますが、ラテン用語のチェックト・フォワード・ウォークと同じです。

 

474 フォワード・ロック・ステップ(Forward Lock Step)【Q】
クイックステップの基本フィガーのひとつ。前進運動しながら右足を左足後ろにかけるステップ。単にフォワード・ロックとも言います。男性がフォワード・ロック・ステップを踊る間、女性はバックワード・ロック・ステップを踊り、使われる名称が変わります。

 

475 ブギウギ(Boogie-Woogie)
踊りのひとつ。また、ピアノによるブルース奏法のひとつ。もとはアメリカ黒人音楽で、4/4拍子で書かれた曲の1小節を8拍にとって演奏します。

 

476 フック(Hook)
片足を自分のもう一方の足に、あるいはパートナーの足や体に掛ける動作。英語の意味は「引っ掛ける」。洋服のホックの意味。ボクシングやゴルフの用語にもあります。

 

477 フット・スリップ・シャッセ(Foot Slip Chasse)【C】
オープン・ヒップ・ツイストの4歩目で男性が右足を少し後ろへスリップさせる踊り方。スリップ・クローズ・シャッセ(Slip-Close Chasse)とも言います。

 

478 フット・チェンジ(Foot Change)
英語の意味は「足の踏みかえ」。ダンスでは、通常、男性が女性と同じ足にするために踏みかえを行ないます。元に戻るには、男性が再び足の踏みかえを行ないます。

 

479 フット・プレス(Foot Press)
ボディと足を通して床に力をかけること。

 

480 フット・ライズ(Foot Rise)【ST】
ヒールを床から上げて行なうライズで、足首を伸ばします。ボディが緩む訳ではありません。➡592

 

481 フットワーク(Footwork)
足をどのように使うか、あるいは、足のどこを使うかを示したもので、テキストの中では1歩1歩のフットワークが記載されています。

◆フットワークとは、そのフィガーを自然な動きで行なうと「そうなる」と言うものを書き出しているに過ぎません。手を繋いで歩いている人が怪我で片足をかばっていたら、繋いだ手からそれが伝わって自分も歩きにくくなることが分かると思いますが、誤ったフットワークとはそのようなものです。

◆スタンダードで使われるフットワークの種類、および、その動きを書き出してみました。

1.  H(ヒール):歩くときのようにヒールから出ていき、その足でのライズはありません。主にタンゴで使用されます。ヒールから出ていくと足は一度フラットになりますが、それは当然のことなので、タンゴの場合はヒールとだけ記載されています。スイング・ダンスでもまれにヒールだけのフットワークがあります。例えば、ワルツのウィングやクイックのクロス・スイブル(Q)、チェンジ・オブ・ダイレクション、スローのスリー・ステップの男性1歩目(左足)のように、ヒールから出て、そのままフラットの足もありますし、ウィーブ・イン・ワルツ・タイムの女性の1歩目のように、左足ヒールで出て右足トウに後退するステップも稀ではありますが、あります。

2. HT(ヒール、トウ):ヒールから出ていき、膝がトウを乗り越えながらヒールを床から剥がしてライズしていきます。ここでのトウにはライズ、および/あるいは、回転のあることが示唆されています。

3. T(トウ):トウに上がったままでいます。次の足へ体重が移動するまで、この足がロアーしたり、膝が緩む動作は起こしたりはしません。

4. TH(トウ、ヒール):一般的には始めにトウが床に着き、次にヒールが下り、それから膝が緩んでいきます。NFRのステップでは膝が伸びていくのもあります。
*内回りの1歩目で使われる場合は(例:ワルツのナチュラル・ターンの女性の1歩目)このヒールを乗り越すことはありません。*続くステップが後退する場合(例:フォックストロットの女性のフェザー・ステップ)、この足のヒールは床とコンタクトしています。しかし、このヒールで押し出すことはしません。

5. THT(トウ、ヒール、トウ):後退からすかさず前進に切り替わる特殊なステップ(フォックストロットの男性のリバース・ターン4歩目やクイックステップの男性のフォー・クイック・ランの1歩目右足後退など)に用いられ、トウから床につき → 次にヒールが床にタッチし  →  再びトウにライズの場合と、男性のナチュラル・スピン・ターン4歩目のピボットやアウトサイド・スピン1歩目やリバース・ピボットのように、トウが回転を意味する場合でも使われます。

6. HTH(ヒール、トウ、ヒール):ナチュラル・ピボット・ターン(Q)の女性4歩目右足のように、ヒールで前進して回転を起こし、再び後退運動に入る場合に使われます。このとき男性はTHTのフットワークを使っています。男女共にライズはなく、トウは回転を意味しています。

7. BH(ボール、ヒール):ボールから出てヒールにおります。タンゴの後退の足に使われます。実際にはトウが先にフロアにつきますが、前の足でライズをしていないのでボールの表現を使います。

8. F(フット):主にタンゴで、FのIE(インサイド・エッジ・オブ・フット)のように使われます。

9. WF(ホール・フット):足裏全体が一度に床につきます。ホールは「全部、まるごと」の意味の英語で、Whole Fと書くこともあります。主にタンゴで使われ、クロース・ホールドで閉じる足はWFになります。

10. IE(インサイド・エッジ):足の部位の内側のこと。FのIE(インサイド・エッジ・オブ・フット)では足裏の内側を使用します。BのIE、H(インサイド・エッジ・オブ・ボール、ヒール)ではボールの内側が始めに床につき、続いてヒールが着くと言う意味です。

11. BHB(ボール、ヒール、ボール):タンゴのナチュラル・プロムナード・ターン、男性の3歩目のように、ライズのないピボットに使います。

12. HB(ヒール、ボール):ヒールから出て回転するためBの表記が使われています。例:タンゴのプロムナード・リンク2歩目、ナチュラル・ツイスト・ターン5歩目(いずれも女性)。ISTDのテキストではタンゴのプロムナード・リンク男性2歩目もHBになっています。ここでは男性の回転はありませんが、「Bまで体重移動を感じて床を押える」の意味合いがあるのではないかと筆者は思っています。

13. Foot Flat(フット・フラット):トウやヒールから床についた後、足の裏全体が床に着いて終わる状態を示す場合に使われます。単にフラットと言うこともあります。類似の言葉にホール・フットがあります。

★足の表現には足と足首の柔らかさと弾力性が関わってきます。エキスパートたちは巧みなフットワークで動きをコントロールし、綺麗な足さばきを楽しみますが、レベルが低くなるにつれ、足の重要性を忘れる傾向にあります。教える側もまた、その重要性をきちんと教えないという誤りをしばしば犯しています。教師たちはもっと正しいフット・アクションを教え、ダンサーたちもトップをめざし、もっと足の使い方を勉強しなくてはなりません。それなしでは豪華なドレスも、洒落たスーツも、最新のヘアメイクも何の意味を持たなくなってしまいます。(L.スクリブナー)

 

 

482 ブラック・ボトム(Black Bottom)
1920年代に人気が出たダンス。主にオフ・ビートで踊り、現在のタップ・ダンス音楽のフレーズ構成はこれが原型となっています。踊りの特徴は前後にホップしながらお尻(ボトム)を叩いたり、両足を踏み鳴らしたり、ボディと腰を旋回させたりします。時としてヒールからトウを使いすくい上げる、当時としてはとてもエロチックな動作を使いました。(Street)

◆踊りの起源には諸説があり、1920年代に発行されたアメリカの新聞には、「泥に後ろ足を取られた牛の動きを表している」、「泥の中で踊るミシシッピーの黒人の踊り」、あるいは、「サマリア(昔のパレスチナ)から来ている」などと書かれています。(Street)

 

 

483 ブラックプール(Blackpool)
イギリス北西部のアイルランド海に面する都市。世界中のダンサーが集うダンス界最大の大会、ブラックプール・ダンス・フェスティバル = ブリティッシュ・オープン選手権が、毎年5月、この町のウィンター・ガーデンと言う施設の中のエンプレス・ボールルームと言う会場で開催されています。

◆ブラックプール・ダンス・フェスティバルのアイディアはウィンター・ガーデン(Winter Gardens)の音楽監督だったハリー・ウッド(Harry Wood)氏、または、ブラックプールで音楽出版をしていたシャープルズ&サン株式会社のネルソン・シャープルズ(Nelson Sharples)氏が始めたと考えられています。第1回は1920年のイースターに開催されました。当時、英国スタイルのモダン・ボールルームやラテン・アメリカン・ダンスはまだ現れておらず、シークエンス・ダンスのワルツ、ツー・ステップ、フォックストロットの3競技だけで、1日に1競技が行なわれ、4日目夜に、その中から優勝者が選ばれ、シャープル・チャレンジ賞が授与されました。1937年にブラックプールで始まったスケーティングシステムは、現在世界中で使われています。

◆自分で撮った写真からエンプレス・ボールルームのフロアの大きさを計算したことがあります。おおよそですが縦13m、幅34mありました!

◆17世紀頃のブラックプールあたりは泥炭(ピート)が流れる川が沼地を作っており、そこからブラックプールの名前が起こったようです。プールは沼地ではなく、方言で「流れ」を意味すると言う説もあるようです。いずれにしてもブラックは泥炭の色から来ているのですね。アイルランドの首都ダブリンもアイルランド語でブラックプールの意味だそうです。

◆英国のダンスの3大大会と言う場合、このブラックプール・ダンス・フェスティバルを筆頭に、10月にロンドンで開催されるインターナショナル選手権(International Championships)と1月にボーンマスで開催されるUKオープン選手権(United Kingdom Open Championships)を指します。因みに、ブラックプール同様に二つの地名の語源を調べてみると、ロンドンの語源にはロンディノス(Londinos)と言う男に属する場所を意味するロンディニウム(Londinium)から来ているとする説を始め諸説ありはっきりはしていないようです。一方、ボーンマス(Bournemouth)のボーンは小川を意味し、マスはマウスで河口の意味。このボーン川は大会会場近くにある公園の中を流れ海に注がれています。

 

 

484 ブラッシュ(Brush)【ST】
ワルツのスピン・ターンで女性の6歩目は5歩目に一度引き寄せてから出ていきますが、このように、次に出ていく足を一度軸足に寄せるアクションをブラッシュと言います。

★ムービング・フットが、ある開いた形から次の開いた位置へと動いていく場合、いったん軸足の傍に寄らなくてはなりません。これは通過していくすべてのステップについて言えることです。しかし、「ブラッシュ」の言葉が使われる場合、それは、軸足に一度はっきりと揃えることを意味します。(H.ジェイクス)

 

 

485 ブラッシュ・タップ(Brush Tap)【T】
タンゴの基本フィガーのひとつ。回転しない形から1/2まで回転する大変魅力的な踊り方ができます。

◆このフィガーはヘンリー・ジェイクス氏の本ではアルゼンチン・チェンジ(Argentine Change)として出ています。

 

 

486 ブラン(Branle)
4/4拍子の明るいオールド・ダンスで通常、ルネッサンス期に人気のあった宮廷ダンスのひとつ。たくさんのカップルが参加し、あるもの達は列で、またある者達は輪になって踊りました。(Virginia)

 

487 フリー・アーム(Free Arm)【LA】
ラテンにおいてホールドしていない方の手・腕、および、その使い方のことで、自分が表現したいように自由に使います。

◆「英国でレッスンを受けていたとき『何をしても良い。ただし、受け入れられればの条件がつきますが』と言われました」―これは鳥居先生が話してくださった言葉です。

◆「初期のラテン競技会では、フリー・アーム、フリー・ハンドは肩より上に上げないとされていたのは、男子が燕尾服(後にディナー・スーツ)を着ていたことにも一因あると思います。腕を上げると肩のラインが汚くなるからです。その後キャット・スーツが出現することで、腕の表現が豊かになった」ということがジェフリー・ハーン氏のラテンのテキストに書かれています。また、同書では、フリー・アームの練習にはクラシック・バレエのポール・ドゥ・ブラ(Port de Bras/仏語で「腕の運び」の意)を勧めています。

★ラテンで右腕を使おうとするときは、まずボディの左サイドを踊らせてから右の肩、肘、手首の順に使います。昔はアームのタイミングをテキストで教えていましたが、難しすぎると考えられ教えなくなりました。だからみんな、知らないのです。(D.バーンズ)

 

 

488 フリー・ホップス(Flea Hops)【J】
ポピュラー・バリエーション集(ラテン)で紹介されているジャイブのバリエーション。フリーは英語で「蚤(のみ)」の意味で、フリー・マーケット(蚤の市)のフリーもこれです。

 

489 フリッカー(Flicker)【ST】
チャールストンからきたステップで、両足のかかとを開きながらトウに上がり、両足に下りながら前後にクロスする動き。

◆英語の意味は「(木の葉などが)震える、揺れる、(鳥が)羽ばたく、(灯などが)明滅する」。

 

 

490 フリック(Flick)
「(すばやい)一振り、(手首などの)すばやい返し」の意味。フット・フリック(Foot Flick)とは、サポーティング・フットの前方か後方へもう一方の足を振るように動かすことで、ヘッド・フリックとは、ネックを素早く返すアクションのことを言います。例えばタンゴのファイブ・ステップの後で、(&)カウントで顔を一度後方へ向け、すかさず(S)カウントで再びPPになるようなアクションのことで、ヘッド・スナップ(Head Snap)とも言います。

★今日のタンゴで使われているヘッド・スナップを「わざとらしすぎる、ばかばかしい」と評する人もいますが、このヘッド・スナップはアルゼンチンのガウチョ(カウボーイ)が行なった演出のひとつでした。このことは、1857年発行のチャールズ・デュラング(Charles Durang)の本「ダンスの小箱(The Dancer’s Casket)」に書かれています。ガウチョも一緒に踊っていた女性も(お互いに少し臭かったので)、二人してちょっと匂いをかいでは素早く顔をそむける仕草をしたのでした。(Street)

 

 

491 フリック・ボール・チェンジ(Flick Ball Change)【J】
膝を緩めて上げた足で、斜め下を蹴るような動作をするボール・チェンジ・アクション。キック・ボール・チェンジとは、膝のゆるみが大きく、蹴る高さが低いの違いがあります。➡119/538

 

492 プル・ステップ(Pull Step)【ST】
男性がヒールを床から離さず引いてくるフィガーを指し、ヒールを引く動作をヒール・プル(Heel Pull)と言います。ワルツのヘジテイション・チェンジの男性5~6歩目はプル・ステップです。女性にはプル・ステップするフィガーはありません。

 

493 ブルース(Blues)
音楽は4/4拍子で基本リズムは(SQQS)です。1分間に30小節前後のテンポで演奏され、日本では一般にスロー・フォックストロットの曲が使われますが、大きく変わることもあります。英国ではリズム・ダンシング、単にリズム、ソシアル・リズムなどとも呼ばれています。使われるステップはクイックステップ、スロー・フォックストロット、タンゴなどから転用されたものを多く見かけます。

 

494 ブレイク(Break)【LA】
1歩目をステップし2歩目で元の足に体重を戻す動きで、ラテン・アメリカンやサルサで使われます。英語の意味は「壊す、分ける、休息、休憩をとる」。

 

495 プレイト/プラット(Plait)【S】
男性はメレンゲ・アクションで後退する間、女性は左右にスイブルしながら前進します。テキストによっては「プラット」となっている場合もありますが、これは英語で二通りの発音があるからで、どちらが正しくどちらが間違いと言うものではありません。

◆プレイトの意味は、「折り目、ひだ、組みひも、おさげ髪」とか、「藁や髪を編むこと」。古い仏語から出て、「折り畳むもの」の意味で1300年後半から使われ始め、「おさげ髪」の意味で使われ始めたのは1530年頃からのようです。因に、この「折り畳むもの」の意味のプレイトは、女性のスカートなどでおなじみの「プリーツ(Pleat)」と同じで、1570年頃にプレイトの動詞、及び、名詞として現れたようです。

◆プレイトと聞いて英語の「お皿」を連想してしまいますが、同じ発音でもお皿の綴りは(Plate)で異なります。この単語は1250年頃から「金や銀の平らなもの」の意味で使われ始め、磁器や陶器の「平らな食器」の意味を持つようになったのは、それから200年後のことのようです。

 

 

496 フレーム(Frame)
英語の意味は「骨組み、枠」。適切なリードとフォローを行なうのに不可欠な、ホールドを通しての枠組みのことで、スタンダード、ラテンを問わず使われます。フレームワーク(framework)と言うこともあります。ウィンドーと同じ意味で使われることもあります。

★ラテン・アメリカンの元を辿ればナイトクラブにありますから、クラブはダンスを楽しむラティーノで溢れかえり、フレームは当然小さなものだったことでしょう。今のラテン・アメリカンでは、皆フレームを大きくしてボリュームを出そうとしていますが、個人的にはそれはラテン・アメリカンと関係ないと思います。(B.ワトソン)

イマジナリー・フレーム(Imaginary~)とは、ダンス・ホールドで実際のフレームを作ったところから、例えばオープニング・アウトで女性が男性の右側に来て片手同士のホールドになったとしても、感覚的にはまだ両手のフレームを通して繋がっている感じです。このように、実際にはそうではないけれど、クローズド・ホールドのイメージを抱くことをイマジナリー・フレームと言います。(B.ワトソン)

 

 

497 フレゴリーナ(Fregolina)とファロル(Farol)【P】
ISTDテキストにでてくる合計28歩からなるパソ・ドブレのフィガーで、トレロ闘牛士の背後で素早く翻されるケープを表す動きをします。この内13歩 ~20歩を省いた省略版をファロル(Farol)と称しています。

★フレゴリーナは闘牛士の背後に翻るケープのことです。(Concise)

◆ファロルは、ISTDの文献によると1920年頃にあった踊りのひとつのようです。踊りとの関連性は分かりませんが、スペイン語で「街灯」の意味があります。

 

 

498 プレシード(Precede)
あるフィガーの前に使うことのできるフィガーのことで、複数ある場合にはプレシーズになります。日本語では先行フィガーとか、単に先行と言います。➡470

 

 

499 フレッカール(Fleckerl)【VW】
カップルが中央に進み出て、その場で回るフィガーでナチュラル・フレッカールとリバース・フレッカールがあります。スタンディング・スピンと異なり、男女ともに1歩ずつ足を踏み変えます。

◆フレッカールのフレック(Fleck)はドイツ語で「その場(スポット)、小さなもの」の意味があり、フレッカールはそこから派生したオーストリア語。オーストリア語の「~アール(-erl)」は何かを短く表現するときに使い、フレッカールには「その場で踊る“もの”」のような意味合いがあるようです。スパゲッティの一種で短くて小さなタイプもフレッカール(小さい食べもの)と呼ばれています。

 

 

500 フレックス(Flex)
英語の意味は「手足を曲げること」で、例えば、足先をピンと伸ばさずに足首が曲がっているのはフレックスです。ここから派生している単語にフレキシブル(Flexible)があり、「柔軟性のある、柔らかい」などの意味があり、動きを形容するのに使われます。

 

501 プレッシャー・ライズ(Pressure Rise)【ST】
その場で行なう足のライズのことで、ナチュラル・スピン・ターンやインピタス・ターンで行なわれます。エレベーション・ライズとも言われます。➡592

★プレッシャー・ライズは、女性にヒール・ターンのリードをするときの男性のリーディング・ステップでも使われます。(オリバー)

 

 

502 プレパラトリ・ステップ(Preparatory Step)
通常、男性が右足で始まるフィガーで踊り始めようとするとき、その前に左足を1歩余分にステップすることがあり、こうした場合の足をプレパラトリ・ステップ、あるいは、プレパレーション・ステップ(Preparation ~)といい、日本語では広く予備歩と呼びます。

◆一般には男性が左足からスタートする傾向があり、女性にしても、その方が安心して踊り始められる利点があります。しかし、踊り始めの予備歩は必ずしも必要ではありません。

◆予備歩はまた、踊りの途中で使うこともあります。例えば、クイックステップのプログレッシブ・シャッセからクイック・オープン・リバースに続ける場合、そのテキストがプログレッシブ・シャッセを4歩構成で捉えている場合(男性が右足後退から始まり左足で終わる)、男性左足から始まるクイック・オープン・リバースの前に右足のステップが必要になります。その場合、この右足を予備歩とかウォークと言います。

◆日本語では準備足、捨て足と言う人もいますが、どの呼び名を使用しようとも立派な1歩です。

 

 

503 フロアクラフト(Floorcraft)
フロアの使い方。他のカップルとの衝突を避けるため、あるいは、混雑していない場所へ速やかに移動しつつも、踊りの美しさを保つ技術のこと。フロアの中心を横切るような踊り方をしないこともフロアクラフトのひとつです。クラフトは英語で「一定の技術」の意味。

★今日のダンスはよりパワフルになり、カップルの中にはマナーが悪く攻撃的なものもいて、フロアクラフトが悪くなっているが、生徒にフロアクラフトを理解させ、混雑したフロアでのマナーを教えるのも教師の仕事の一環である。(ジェフリー・ハーン LA)

 

 

504 ブロークン・スウェイ(Broken Sway)
ウエストから上を折るようにして作る変形スウェイのこと。通常のスウェイは足首から上で作りますが、ある種のフィガーではウエストから上を折るようにして作るほうが自然に感じられる場合があり、そうした場合に使われる変形スウェイをブロークン・スウェイと言います。ヘジテイションやチェンジ・オブ・ダイレクションなどで使われています。➡224

★これは、もうひとつの形のスウェイですが、そう呼ばれるわけは一般のスウェイのときよりも、肋骨の一番下から骨盤の間でのスウェイが大きいからです。(オリバー)

 

 

505 ブロークン・タイミング(Broken Timing)
「変則的なタイミング」の意味。

 

506 プログレッシブ(Progressive)
英語で「進行性の、前進していく」意味。フィガーとしてはタンゴのプログレッシブ・リンクやプログレッシブ・サイド・ステップ、クイックステップのプログレッシブ・シャッセなどがあります。

★ルンバのプログレッシブ・ウォークはキューバ人が使っていたフィガー名、エル・パセオ(El Paseo/歩く)からきました。(Concise)

 

 

507 プログレッシブ・ウィング(Progressive Wing)【W】
男性がレフト・ウィスクをしながら、女性にウィングさせる踊り方がポピュラー・バリエーション集に紹介されています。➡054

 

508 プログレッシブ・サイド・ステップ(Progressive Side Step)【T】
3歩構成のタンゴの基本フィガーのひとつで、単にピー・エス・エス(PSS)とも言います。

★このフィガーからプログレッシブ・リンクが生まれました。(K.アクリル)

 

 

509 プログレッシブ・サイド・ステップ・リバース・ターン(Progressive Side Step Reverse Turn)【T】
基本フィガーのひとつ。PSSの3歩 + ウォーク1歩 + 男性左足のロック3歩 + バック・コルテ2~4歩目の3歩、合計10歩で構成されるフィガー。単にPSSリバース・ターンとも言います。

◆1930年代のヘンリー・ジェイクス氏の本に出ているPSSリバース・ターンは最初の4歩だけでした。

 

 

510 プログレッシブ・シャッセ・トゥ・ライト (Progressive Chasse to Right)【W/Q/F】
男性の左足前進から始まる4歩構成のフィガー。ワルツでは(12&3)、クイックでは(SQQS)、フォックストロットでは(SQ&Q)で踊ります。

◆右へのプログレッシブ・シャッセ、あるいは、単にシャッセ・トゥ・ライトとも言います。ここでの「右」は回転方向ではなく、男性から見た進行方向を示しています。

 

 

511 プログレッシブ・ダンス(Progressive Dance)とノン・プログレッシブ・ダンス(Non-Progressive Dance)
スタンダード・ダンスやラテンでのサンバやパソのように、フロアを回っていく踊りをプログレッシブ・ダンスといい、ルンバやジャイブなどのように、フロアを回っていかない、その場で踊る種目をノン・プログレッシブ・ダンス(Non-Progressive Dance)と言います。

◆ノン・プログレッシブ・ダンスに関し、ISTDのHPには「ルンバやアルゼンチン・タンゴなどが狭いスペースで踊られるのは、キャンプファイアの周りとか街角で踊られたと言うダンスの起源に由来しているからに違いありません」と書かれています。

 

 

512 プログレッシブ・フィニッシュ(Progressive Finish)【ST】
あるフィガーからプログレッシブ・シャッセにつなげる踊り方。

 

513 プログレッシブ・リンク(Progressive Link)【T】
タンゴの基本フィガーのひとつ。タンゴで単にリンクと言うと、このフィガーを指します(他にプロムナード・リンクがあります)。

★もとはプログレッシブ・サイド・ステップのスタンダード・バリエーションでした。(K.アクリル)

◆ヘンリー・ジェイクス氏の本にはコントラ・ツイスト(Contra Twist)となっていて、カッコしてプログレッシブ・リンクと書かれています。

 

 

514 プロムナード・エンディング(Promenade Ending)
あるフィガーをPPで終わること。プロムナード・フィニッシュ、PPエンディングとも言います。

 

515 プロムナード・シャッセ(Promenade Chasse)
ガイ・ハワードのテキストで紹介されているブルースのフィガー。踊りそのものはタンゴのクローズド・プロムナードをPPのまま2度繰り返し、3度目で閉じます。このフィガーには、カンバセーション・ピースィズ(Conversation Pieces)の名前も一緒に示されています。ワルツでシャッセ・フロム・PPをPPで終わる踊り方も、プロムナード・シャッセと言います。

 

516 プロムナード・ピボット(Promenade Pivot)【ST】
PPから入るピボットで男女共にトウ・ピボットを使います。➡440

 

517 プロムナード・ポジション(Promenade Position)
男性の右側と女性の中心から少し左側がつき、反対側が少し離れた体型を言います。一般にPPと略し、そのまま「ピー・ピー」と言います。ですから、ワルツの「シャッセ・フロム・PP」を「シャッセ・フロム・プロムナード・ポジション」と言っても同じことです。ラテンにおいてはスタンダードの場合より緩やかに組む場合もありますし、サンバのシャドー・ボタ・フォゴでの最後の形のように片手ホールドでのPPもあり、この場合はオープン・プロムナード・ポジションと言います。

◆プロムナードは英語で「散歩道、遊歩道、散歩する、見せびらかして歩く」などの意味があります。アメリカ映画によく出てくる卒業記念ダンス・パーティーはプロムと呼ばれ、このプロムナードの略称です。Promenadeの語源を遡ると大元はラテン語の pro + minareで「動物などを怒鳴って追いやる」ことだったようです。原因がどちらにあるにせよPPのリードが伝わらずイライラしたとき、この語源を思い浮かべるかもしれませんね。

★PPでは、女性は男性のスピードに従ってヘッドを左から右に返しますが、ボビーは女性が本当にヘッドを返してしまうのを心配していました。つまり、ヘッドを返すがためにヘッド・ウエイトがスタンディング・フットから外れてしまうことがあるからです。(オリバー)

★オープン・インピタスやターニング・ロック・トゥ・ライトのように右回転からPPになるときは、骨盤の回転をボディの回転より早く終わらせます。反対に、アウトサイド・チェンジからPPになるときやオープン・テレマークのように左回転からPPになるときは、ボディの回転が終わっても骨盤の回転が続くようにします。(オリバー)

★PPで二人のヒップがスクエア(閉じている)だと、次に出るときにお互いが押し合い、二つの違う方向へ踊ってしまいます。PPの私たちのヒップは相当開いています。しかし、そのままの感じをショルダーに持っていくと、男性の右側(女性の左側)にスペースが無くなり問題を起こしてしまいますので、ヒップはそのままにし、上半身に(男性は右、女性は左の)回転運動を起こしてフレームにスペースを作ります。(L.バリッキ/クイックの話の中で)

★ボールルームでは、例えばウィスクのようにPPになる美しいフィガーがたくさんありますが、PPの所ではPPにならなくても良いことを知っておくと便利です。つまり女性はネックを左に向けたままで踊るのですが、これには形が崩れないと言う利点があります。スクリブナー氏の本にもこう書いてあります―「(PPで)女性が右を向くか左にするかは選択できますが、左のままにしておく方がより本質的なラインが創れることでしょう。それはまた、私がお薦めする方法でもあります」(サークルで)

★オープン・インピタスの2歩目のように、スイング・ダンスで女性が左足前進からPPになるとき、左足は左肘の方向へ、トウ・ターン・アウトして出ていくと綺麗にPPになれます。左足トウが内側に向くほどにPPになるのが早くなってしまいます。(サークルで)

★PPになるには3通りあります。二人でPPになる、女性がPPになる、男性がPPになる。(サークルで)

 

 

518 プロムナード・ラン(Promenade Runs)【S】
サンバのテキストにあるフィガー名。プロムナード・アンド・カウンター・プロムナード・ランとも言います。

★プロムナード・トゥ・カウンター・プロムナード・ランはウォルター・レアードによって考案されました。(D.バーンズ)

★このフィガーは(123)のカウントで踊りますが、ウォルター・レアードはこの(123)の所では、他の所よりももっと均等な動きをイメージしたいときに使っていました。とはいえ、この3歩の長さはトータルでは(QQS)と同じく全体で1/4拍が8つですから、3歩で均等に分けることはできません。1歩目は3/4、2歩目はハーフ・ビートの2/4拍、3歩目は3/4拍にするのが最も近い形になります。(H.ガルケ)

 

 

519 プロムナード・リンク(Promenade Link)【T】
PPから2歩踏み出し、3歩目は体重をかけずにスクエアに戻る、タンゴの基本フィガーのひとつ。

◆このフィガーを中央斜めに進み3歩目で男性が中央斜めに面して終わるとき、男性は左へ1/8回転します。この踊り方をリバース・プロムナード・リンク(Reverse ~)と言うことがあります。

 

 

520 ペア・ワーク(Pair Work)【LA】
➡195

 

521 ヘアピン(Hairpin)【Q】
英語の意味は「ヘアピン、U字に曲がっているもの」。カーブド・フェザーの回転量を多くした踊り方。ヘアピン・ラン(~ Run)とも言います。

 

522 ベーシック・イン・プレイス(Basic In Place)【J】
ジャイブの基本フィガーのひとつ。通常PPで男性左足、女性右足後退から始めるベーシック(= ベーシック・イン・フォーラウェイ)に対し、PPにならず、始めの2歩をその場で踏んで始めるベーシック。2歩目からもPPにはなりません。イン・プレイスとは「その場で」という意味です。

 

523 ベーシック・ウィーブ(Basic Weave)【W/F】
ISTDのテキストに出てくる基本フィガーのひとつ。リバース・ターンの4歩目でチェックしてから、イン・ラインのままウィーブを踊る踊り方。

◆ワルツの早い段階で習うフィガーにウィーブ・フロム・PPがありますが、これは「PPから始めるウィーブ」と言う意味です。すると、「PPから始めないウィーブはあるのかな?」と考えたくなりませんか? その「PPから始めない」のがこのベーシック・ウィーブです。ISTDの以前のテキストやリバイズド・テクニックでの名称は「ザ・ウィーブ」でした。よって、ベーシック・ウィーブは(ザ・)ウィーブと同じです。

◆ヘンリー・ジェイクス氏の本には、彼が考案したことが書かれています。

 

 

524 ヘジテイション(Hesitation)
ダンスで2拍以上同じ足の上に体重が乗り続ける場合にこの言葉が使われます。フィガー名としてはヘジテイション・チェンジ、ドラッグ・ヘジテイション、クロス・ヘジテイション、ナチュラル・ターン・ウィズ・ヘジテイションなどがありますが、フィガー名にヘジテイションが付いていなくても、ウィングやリバース・コルテなどのように男性だけがヘジテイトするフィガーもあります。英語の意味は「躊躇すること、ためらうこと」で、動詞はヘジテイト。

★フィリップ・リチャードソン(P.J.S.Richardson)が1915年にこの踊りについて書いています ― 「ヘジテイションについて私はアメリカ人の発明と教わりましたが、個人的には誰の発明と言うことはないと考えます。誰かがタンゴのステップをワルツで使おうとして生まれたのでしょう」。(MBD)

 

 

525 ヘジテイション・ワルツ(Hesitation Waltz)
1880年頃のボストン・ワルツの変種で、音楽の途中で休止するヘジテイションが使われたところからその名が付きました。ヘジテイションに加え、背骨や脚が折れそうなほどのひねりがどんどん加わり、一般の人には難しくなりすぎて長くは続きませんでした。

 

526 ヘッド・ウエイト(Head Weight)
英語の意味は「頭の重さ」で、それを利用して動きを作ろうとするときに「ヘッド・ウエイトを使って~する」とか「ヘッド・リードする」という風に使います。例えば、スローアウェイ・オーバースウェイに入る場合、男性が右足後退した
ところから「ヘッド・ウエイトを使いながら左足にステップする」と表現することがあります。

 

527 ヘッド・ロール(Head Roll)【LA】
(演出として)頭をぐるっと回転させることや、男性の腕の下を女性が回る場合の意味にも使われます。

 

528 ペッパーポット(Pepperpot)【Q】
ホップ ~ シャッセ ~ ロック・ステップの一連の動きのこと。V6、ランニング・フィニッシュ、あるいはペンジュラムのような動きから入ることができます。ペパーポットは「コショウ入れ」のこと。

★ここで使われるリズムは(Q&QQQS)です。ペパーポットの名前の由来は、このときの(Q&Q)のリズムからきています。(オリバー)

 

 

529 ペルビック・アクション(Pelvic Action)【LA】
ラテン種目で骨盤を使う動作のこと。骨盤を傾けるときにはペルビック・ティルト・アクションの言葉が使われることもあります。ペルビックは「骨盤の」の意味で、骨盤はペルビス。

 

530 ベレータ(Veleta)
アーサー・モリス(Arthur Morris)氏が考案し作曲もした、1800年後半最も人気のあったスクエアダンス。1929年のブラックプール大会ではアマチュア種目としても上がりました。

 

531 ペンジュラム(Pendulum)【Q】
クイックステップのフィガー名で、その場で足を踏み変えながら左右に振る動きをします。英語の意味は「振り子」。

 

531-1 ペンジュラム・ポイント(Pendulum Point)
あるタイミングでペンジュラムに使われる脚の形になることです。

 

532 ペンジュラム・スイング(Pendulum Swing)
頭部を支点に脚部を振り子のように振る動作のこと。ワルツの踊りはそれを使う典型と言えます。➡584

 

 

533 ポイズ(Poise)
ポイズの英語の意味は「(名詞)つりあい、平均、バランス、(動詞)~の均衡を取らせる、(ある姿勢に)構える、保つ」でバランスと同義語ですが、ダンスでは特に両足と上体のバランスの取れた状態のことを言います。即ち、吊り上げられた頭の下にボディがあり、全体的にボールの上に立つ感じです。➡545

◆ポイズはラテン語の Pendera「重さを量る、ぶら下げる、吊り下げる」を語源としており、いつでも何かをする状態、動ける状態を示しています。

★スタンダードにおける女性のポイズは、上記説明の形を作った後、みぞおち付近から頭を左斜め後ろに持っていきます。しかし、それに連れて左サイドが開くことはありません。ポイズにおける典型的な誤りは、男性の場合、胸を前に突き出すこと、両肩を持ちあげること、腰を前に突き出すことが挙げられます。女性の場合は、両肩を持ちあげる、腰を引く、そして、不自然な頭の位置が挙げられます。(サークルで)

★姿勢の問題は頑張るより頑張らない方が解決します。(アレクサンダー)

★ポスチャーは誰にとっても共通で、完璧なポスチャーはひとつです。それはボディの使い方をきちんと理解することで作ることができます。しかし、完璧なポイズはひとつではなく、カップル・バランスやステップによって違ってきます。(R.グリーブ)

★ポイズを要約するとフロアに対する体重の角度のことです。ですから、ポスチャー(姿勢)がよくてもポイズが悪いということがあり得ることです。(L.バリッキ)

★ビルは、体を伸ばすときは下から上にしないことを勧めていました。もし始めに骨盤隔膜に大きな努力を払ったとすると、脊椎のスタートの形が違ってしまうからです。脊椎の形が違えば理想的なバランス・ラインは作れませんし、おかしなバランスが上までつながっていってしまうでしょう。(オリバー)

 

 

534 ポーズ(Pose)
見ているものに印象を与えようとして行なう動作。語源は仏語の Poser「困惑させる、悩ませる」。

 

535 ホース・アンド・カート(Horse and Cart)【R】
ポピュラー・バリエーション集(ラテン)で紹介されているルンバのバリエーションで、女性の左手を男性が後ろから左手で取り、男性の右手は女性の腰を取り、男性の左足を軸に回転するよう女性が走ります。男女が向き合った形で、女性が後ろ向きに走る形もあります。

◆名称の意味は「馬と荷車」。女性は馬の役で走りながら小さな円を描き、荷車役の男性は左足軸に右足を上げて回転する構図です。ここではローマ帝国時代にみる2輪の軽装馬車を想像してはいかがでしょう。

★ラテン・アメリカンの原則にないアクションやリズムで観客を喜ばせるように作られたものをトリック・フィガーといい、このホース・アンド・カートは初期のトリック・フィガーです。(G.ハーン)

 

 

536 ホース・トロット(Horse Trot)
1910年代に流行、1914年頃には人気が落ちました。2/4拍子のラグタイムで、非常に元気な曲を使用します。ベーシック・ステップはケーキ・ウォークに非常によく似ています。足は飛び跳ねるように持ち上げます。

★前進、後退と左右への回転を伴い、静止ステップとして、足を横にカットし、右足後退する一連のディップが頻繁に使われました。ホース・トロットではキャンター・ムーブメントが使われました。これは、(1)男性が左足で飛び上がり、(2)右足後退してディップ、(3~4)左足、右足と後退のトロットをします。これを何回か繰り返すとキャンターにかなり似たものになります。カンガルー・ディップもホース・トロットでよく使われたステップのひとつです。男性後退、女性前進の一連のディップを行ない、これがカンガルーの動きに似ていました。(Street)

 

 

537 ボール(Ball)
手足の親指の付け根(母球)。ダンスでは足の親指の付け根を指します。略語はB。

◆ボールそのものは手足の親指の付け根部分を指し、野球のボールと同じ綴りで「腫れる」が原義。一方、ボールルームのボールは「踊る、跳びはねる」が原義の古い仏語(baller)からきています。

 

 

538 ボール・チェンジ(Ball Change)【LA】
一方の足のボールに乗っている体重を他方のフラットな足に移すこと。

 

539 ホールド(Hold)
相手の人と組むこと、および、組んだ形のこと。スタンダードでの基本形では肩のラインは水平近くになるようにしますが、背の高さの違いがある場合、低い人の肩が水平になるようにし、両肘が肩より高くなることはしません。スタンダードでプラクティス・ホールドと言う場合、ステップ確認の練習などで使う肘を張らず楽にしたホールドのことです。また、ラテンでダブル・ホールド(Double Hold)と言うと、両手を取り合うホールドの形で、これは、ダブル・ハンド・ホールドとも言います。ライト・トゥ・ライト・ハンド・ホー ルド(R to R Hand Hold)は文字通り男女右手同士のホールドで、レフト・トゥ・ライト・ハンド・ホールド(L to R Hand Hold)だと男性左手/女性右手のホールドになります。➡138

★男女の足の距離は非常に重要で、15cmを目安に離れて立ちます。私たちの足の上に立った垂直なラインが、ライズ・アンド・フォールをしているときに変化することは自然なことですが、そのライズのときもロアーのときも体重はわずかに前の方にかかりますから、そのために、二人の間にスペースを空けておくことが必要になるのです。(オリバー)

★ホールドは一度覚えたらおしまいと言うものではなく、レベルが上がるにつれ微妙に進化していくものです。ボールルームの綺麗なホールドをする方法として、①両手を横に広げたところから体の前で両手の指先を合わせる。②肘の位置は変えずにホールドの形にする。この方法はチャンピオンたちのレクチャーでも取り上げられています。肘は体の前にあることが重要です。背中に取り付けた天使の羽でホールドするイメージも効果的です。女性はパートナーと組んだとき、すでにホールドが崩れていることがあります。それを知るには、女性がホールドしている所に男性に入ってもらうと、女性から入ったときとの違いが感じられるはずです。二人ともナチュラルに立てる方が、より正しいホールドです。(サークルで)

 

 

540 ボールルーム(Ballroom)

1. 舞踏室
2. 主にスタンダードの5種目を指しますが、ラテンの5種目を含めることもあります。

◆ボールルームのボールの英語の綴りは足のボールと同じでも、「踊る」が原義で出所が異なります。

◆その時代時代に広く舞踏室で踊られた踊りはボールルームといわれ、オールドタイムやシークエンス・ダンスを含めてボールルームと言うこともありました。そのため英国ではそれらを含まないことを示すためにモダン・ボールルームと言うこともあります。

★ボールルーム・ダンシングと言う言葉はボールルーム(舞踏室)が前提となっていますが、1890年頃までボールルームの中を見たことのある一般人は殆どいませんでした。(Come Dancing)

 

 

540-1 ボールルーム・ダンス
➡236

 

541 ボールルーム・ダンシング(Ballroom Dancing/アレックス・ムーア著)
世界でバイブルと称されているダンステキスト。しばらくの間ISTDの教師試験用テキストとしても使われていたようです。

◆1936年の初版の特色はスタンダード4種目に数多くの足型図とステップに対する親切なアドバイスがあることと思いますが、何と言っても最大の特色は、彼の特許とも言うべき足型図に使用されている升目。これにより、足型図からだけでも進行方向が明確に分かるようになりました。 私が所有する第6版(A5より若干小さ目、336頁/1951年発行、欠落本)には、スタンダード4種目とポピュラー・ダンスとしてブルース、ルンバ、サンバ、ヴィニーズ・ワルツ、リズム・ダンス、そしてパーティー・ダンスが含まれています。以前、拙書「サークルで上達するボールルーム・ダンス」の出版に関して、お嬢さんのパットさんを訪問したことがあります。そのとき、ボールルーム・ダンシングのサイズについて、「父は持ち運びに便利なように、女性にも重くないようにと小さくしたのよ」と話してくださいました。当時の主要交通手段がバスや列車だったことを考えると素晴らしい配慮だったと思います。そして、この配慮はリバイズド・テクニックにも引き継がれることになります。

 

 

542 ボカ(Boca)
鮮やかなペインティングの家々があるカミニート地区で知られ、アルゼンチン・タンゴの発祥の地と言われています。世界の強豪サッカーチーム・ボカのスタジアムもあります。

 

543 ポジション(Position)
立ち位置。組んだ形。

 

544 ポジション・オブ・フィート/足の方向(Position of Feet)

1.前進
2.後退
3.  横
4.  斜め前
5.  斜め後ろ

 

◆前進ではトウをその方向に向けて出ていきます。後ろにある足が次にヒールから出る場合の細かな足の使い方は、トウからボールになって軸足に寄ってきて、ボールで長くフロアとコンタクトしてからヒールになります。後退ではヒールをその方向に向けてトウ、あるいはボールから下がります。以前、あるダンス教室とアレクサンダー・テクニークのコラボをしたことがありますが、そのとき、ジェレミー・チャンス氏が「後退はヒールを意識しましょう」とアドバイスしてくれました。最初にヒールを意識して後退すると、驚くほどバランスが良くなり動きが変わりました。試してみてください。

◆「斜め前に」と「横少し前」は類似していますが、「斜め前」は前進の意識が強く、「横少し前」は横への意識が強く働いています。男女が正対して動く場合、一方が「斜め前に」前進する場合、後退する人は「横少し後ろに」後退します。このとき後退する人が「斜め後ろに」後退すると、前進する人のスペースを奪うことになるからです。

 

 

545 ポスチャー(Posture)
姿勢。身のこなし、立ち居振る舞いのこと。体全体に対する手足のありかたや体の運び方のこと。語源はラテン語の Positure「ポジション、位置、態度」。➡533

◆DVD「アートインモーション」の中のルカ・バリッキの話は興味深いです。要約すると次のような内容です ― 「ポスチャーはボディをストレッチして特定のポジションに保つことと誤解されることがありますが、そうすると、パートナーは私の体重やシェイプを感じられずフォローできなくなりますし、逆にパートナーがそうすると私はリードできなくなります。私たちはダンサーの長く伸ばしたラインや大きく広げたシェイプを目にしますが、それは、特定の筋肉を縮める動作(アクション)に対する結果(リアクション)でしかないのです。ボディの長いラインは背中側の筋肉(両肩から背骨の中央に繋がる)を縮めることで作られ、体の前の方の筋肉をストレッチするのとは違います。試しに、見えた通りに体の前面をストレッチしてみると大きなシェイプは作れるかもしれませんが、柔軟性が失われるのが分かるでしょう。筋肉全体が固まった状態で固定されてしまい、これでは二つのボディに必要なハーモニーは生まれません」。

★良いダンスをするには最低限の努力でポスチャーを作り、自分がしたい動きのためにいつでも必要な筋肉を自由に使えるようにしておくことが絶対条件となります。そうしておけば、多少バランスを崩しても、脳は他の筋肉に助けるよう指示するようになっているからです。(オリバー)

★尾骶骨から背骨のてっぺんまで伸ばすイメージです。そしてエネルギーは床から背骨の中を上り、頭の上で終わるのではなく、頭を突き抜け、天井も突き抜けるイメージを持ちます。そして腰の部分はできる限り真っすぐ保つようにし、骨盤は少し前に傾く感じです。(クリクリビー&カリーナ LA)

★男性はショルダー・ラインとヒップ・ラインはパラレルにしますが、女性の場合は少し違います。ショルダー・ラインは床と並行になりますが、男性の右腕の中に入るため、右ヒップは左ヒップより高くなり、左腿を内側に回転させます。(K.ヒルトン)

 

 

546 ボストン(Boston)
ボストン・ワルツ。もともとボストンと呼ばれていたアメリカのワルツ。1834年、ダンス教師のロレンゾ・パパティノ(Lorenzo Papatino)氏がボストンで初めて紹介したところからその名が付きました。彼はオティス・ビーコン・ヒル(Otis Beacon Hill)嬢に雇われ、彼女の邸宅で踊りを披露するよう依頼を受け、当時使われていたものよりずっと緩やかなテンポで滑らかな動きのワルツ(1小節で3歩)を踊って見せました。また、それまではバレエと同じつま先を開いた踊り方をしていましたが、このボストンは両足平行に揃えるようになった最初のボールルーム・ダンスと言われています。(Street)

 

547 ボタ・フォゴ(Bota Fogos)【S】
ボルタ同様、サンバの特徴的な踊り方のひとつ。シャドー・ボタ・フォゴ、プロムナード・ボタ・フォゴなどがあります。ボタフォゴ、ボト・フォゴ、ボトフォゴとも書きます。ボルタとボタ・フォゴの違いについてはボルタの項を参照してください。

★ボタ・フォゴの動きの形がボタ・フォゴ湾の形に似ているところからこの名がつきました。(Concise)

◆ボタ(Bota)はポルトガル語でブーツ、フォゴ(Fogo)は「かまど、火」を言い、フィガー名は長靴で火を消すような動作からついたと言う説を見たことがあります。踊りの雰囲気からなるほどと思います。一方、リオデジャネイロ近郊にあるボタ・フォゴという町の名から来ているという説もあります。その町の名の由来を調べると、「植民地時代に土地を所有していたサウサ・ボタフォゴ(Sousa Botafogo)の名から取りました。彼の名の文字通りの意味は『火をつけろ』です」とあります。火を消すとつけるとでは大きな違いがありますが、どこかでつながっているのかもしれません。

 

 

548 ボタ・フォゴ・トゥ・PP・アンド・CPP(Bota Fogos to PP and CPP)【S】
サンバの基本フィガーのひとつでプロムナード・ボタ・フォゴのこと。

 

549 ホッケー・スティック(Hockey Stick)【R/C】
ルンバ、チャチャチャの基本フィガーのひとつ。

★ホッケー・スティックの形のような女性の動きからその名がついていますが、今日のように5歩目は前進ではなく、かつてはカーブを描いていました。(Concise)

◆「ああ、あのアイス・ホッケーの?」と思われるかもしれませんが、ホッケー = アイス・ホッケーとするのは米国で、英国ではホッケー = フィールド・ホッケーですから、こっちの方のスティックだと思います。

 

 

550 ホップ(Hop)
ぴょんと飛び跳ねること。跳ねた足で着地します。スタンダードは飛び跳ねたように見せているだけで実際の足は床からほとんど離れません。

 

551 ホップ・ワルツ(Hop Waltz)
(1820年代に一時流行し1856年に再び流行)この踊りはレドワ(Redowa)と言う踊りに変更を加えたもので、1歩目と4歩目は滑っていかず跳び上がります。1歩目ではバレエのジュテやフェッテのように跳ね上がり、2と3歩目は走ります。(Street)

 

552 ボディ・ウエイト(Body Weight)
直訳すると体重になりますが、実際の体重と言うより「スタンディング・フットに重さをかける」と言うときに使われる表現です。

★私はボディ・ウエイトをスパインの下の方で動かす感じにしています。上の方に持って行き過ぎると不安定になりバランスを失い、下過ぎるとバック・バランスになってしまいます。(カルメン LA)

★ボディ・ウエイトを移動させるには、ボディ・パーツのタイミングを分けなくてはなりません。歩くときのように全部を一緒に動かそうとするのは、一番やってはいけないことです。(B.ワトソン LA)

 

 

553 ボディ・スイング(Body Swing)
ボディを振ること。ムービング・ダンスで脚部がスイングするとき、その起点としてボディ・スイングを使います。

★回転時のスイングでの固定点は頸椎の下の辺です。そこを固定してしまうと、全てが一緒に動いてしまうのでバランスを崩し、正しくスイングすることができなくなります。つまり、首の筋肉を自由に動ける状態にしておかないと首や腕やショルダーがスイングできません。(R.グリーブ)

 

 

554 ボディ・ターン・レス(Body Turns Less)
足の回転より体の回転量を少なくすること。テキストの「回転量」の所に頻繁にこの表現が出ています。その意味は、1.内回りの人は1~2歩間で足の回転が完了しますが、そのとき2歩目で足と同じ方向にボディも向けてしまうと外回りの人を引っ張ってしまいます。そのため、「2歩目の時点では足の向きよりボディの回転を少なめにし、3歩目の時点で足と同じ向きにボディを合わせる」必要があります。また、2.外回りしてからPPで出ていくときや、相手がアウトサイドに出てくる場合にも体の回転を少なくして対応するケースが多くあります。3.このボディ・ターン・レスの技術は、スピン、ピボット、プル・ステップ、あるいは、インピタスする所では使われません。こうした所では、内回りと外回りの人は同じタイミングで踊るからです。➡289

 

555 ボディ・ティルト(Body Tilt)
ポピュラー・バリエーション集のタンゴに出てくる表現で、男性はボディを右に(女性は左に)シャープに傾けるアクション。結果としてドロップ・オーバースウェイの形になります。

 

556 ボディ・トーン(Body Tone)
体の張りのこと。緊張のことではありません。

 

557 ボディ・フライト(Body Flight)
ボディが浮いた状態を表現する場合に使われることがあります。フライトは「飛行」の意味。

★足を使わずしてフライトはない!(ビル)

★二人がどれだけスマートでどれだけ正確にステップを踏んでいても、ボディ・スイングによって作りだされるボディ・フライトがなければ、ただ歩きまわっているのと同じことだ。(L.スクリブナー)

 

 

558 ボディ・ムーブメント(Body Movement)【LA】
体の中から外側を動かすこと。例えばラテンでのヒップの使い方もボディ・ムーブメントのひとつですが、単にヒップの位置を現在の位置から次の位置へ外見的に移動させるのではなく、体の内部にその運動を求める場合に用います。

 

559 ボディ・ライズ(Body Rise)
背中の方を上に伸ばそうとする動き。このとき、膝も多少伸びていきますが、フット・ライズは含まれません。➡592

★良いボディ・ライズの必須条件は、フロアに対してボディ・ウエイトが強くあることです。(オリバー)

 

 

560 ホバー(Hover)【ST】
英語の意味は「空中に漂う、停止する」。フィガーとしてはホバー・クロスやホバー・コルテなどがあります。

 

561 ホバー・コルテ(Hover Corte)【W】
ISTDのテキストに出ているワルツの基本フィガーのひとつで、1小節と2小節を使う踊り方が出ており、後者はハイ・ホバーになります。一方、前者の踊り方はIDTAテキストのリバース・コルテとほぼ同じですが、男性2歩目の使い方が少し違います。

★ワルツでリバース・ターンを踊るとき、男性の5歩目は横へのステップで横にスイングします。しかし、そうしないで(リバース・コルテのように)足を揃えることでアクションを短く切り、それからライズしてホバーしたのでホバー・コルテと呼ぶようになりました。最近はこのようにきっちりとしたヒール・ターンをするダンサーはほとんどいません。代わりに、5歩目を横へステップして少し足が開いたところから左足で強くライズしてホバーの形になります。男性が足を揃えないと言う基本的な違いがあるのに、未だにこのステップをホバー・コルテと呼んでいます。基本となるホバーのポジションでは、男性はライズしてもフラットでも構いません。そして、フラットで行なう踊り方をフラット・ホバーと言います。(R.グリーブ)

 

 

562 ホバー・フェザー(Hover Feather)【F】
プル・ステップの最後でライズし、そこからフェザー・ステップの2~3歩を(QQ)と踊るフィガー(テキストによりその次の1歩まで含むこともあります)。フォックストロットのナチュラル・ツイスト・ターンの最後もホバー・フェザーです。➡452

★ムーブメントと同じ方向に作られるスウェイは滅多に使われることはありませんが、あることはあります。典型的な例としてはホバー・フェザーがあります。このフィガーでは、男性は左への進行方向に対して左スウェイを使いながら始まります。(オリバー)

 

 

563 ポピュラー・バリエーション(Popular Variation)
アレックス・ムーア著のテキスト。初版が1954年に発売され、スタンダード4種目のバリエーションの数々を集めた本で現在も増刷されています。ワルツには57種類、フォックストロットには64種類、タンゴには52種類、クイックステップには57種類のバリエーションが紹介されている貴重な資料です。ポピュラー・バリエーション集にはもうひとつ、Popular Variation in Latin American Dancing があり、ルンバで14種類、サンバ16種類、パソで8種類、ジャイブ15種類、チャチャチャ13種類のバリエーションが出ています。こちらは、エリザベス・ロメイン(Elizabeth Romaine)女史監修の元、ISTDが出版しています。ポピュラー・ラテン・バリエーションとも言います。

 

564 ボムシェル(Bombshell)【ST】
意表を突くこの美しい踊り方は、残念ながらスタンダードのテキストにもポピュラー・バリエーション集にも載っていません。以前、英国から取り寄せたビデオ「BALLROOM COMPETITION FIGURES」に出ており、付属の小冊子を訳すと下のようになります。このビデオはジェフリー・ハーン氏によるものですが、彼の新しいテキスト「A Technique of Advanced Standard Ballroom Figures」にもボムシェルは載っていません。

1.  ダブル・リバース・スピンの1~3を踊り、男性は3歩目右足トウで床をプレスし女性が4歩目左足に乗らず、右足の上に体重を保てるようにします(&)。

2. 男性は(1)で左足を前から後ろに向けてロンデし、(2)は左足トウで左回転を継続。(3)で右足後退からピボットします。女性は(1)で左足を前から後ろに向けてロンデし、(2)で体重をかけずに左足を右足近くに閉じ、(3)で左足前進してトウ・ピボットします。

3. コントラ・チェックに入り、ホバー・トゥ・PPで終わります。

◆ボムシェルには「爆弾、砲弾、人を驚かすようなこと、(略式)かわいこちゃん」などの意味があります。

 

 

565 ボリウッド・ダンス(Bollywood Dancing)
インドはアメリカに劣らず映画産業が盛んで、なかでも、ミュージカルがその中心となっています。産業の中心地、ボンベイはハリウッドとひっかけてボリウッドと呼ばれ、ボンベイ発のダンス・スタイルをボリウッド・ダンスと言います。

 

566 ポルカ(Polka)
ボヘミア生まれの陽気なボールルーム・ダンス。19世紀に大人気を博しました。ポルカ・アクションと言う場合は、弾性を伴う、大きなバウンス・アクションを指します。

 

567 ボルタ(Volta)【S】

1. ボルタ・スポット・ターンや、サーキュラー・ボルタ、トラベリング・ボルタ、スポット・ボルタなどがあります。ボルタの踊り方は、ボタ・フォゴ同様、(1a2)と3歩踏みますが、ボタ・フォゴでは1歩目と3歩目がほぼ同じ位置で、かつ、2歩目と3歩目が開いた形になりますが、ボルタでは3歩間で移動があり、かつ3歩目は2歩目とクロスした形で終わります。(1a2a3a4)や(1a2a3a4a)と踊ることもあります。ポルトガル語で「回転、一巡する」意味。

2. プロベンスで発生したルネッサンス時代の宮廷ダンス。仏語は Volte と書きます。

◆ワルツの元となったこの踊りでは、現在のように男女が向き合いくっついた形で踊り(それまでは横並びか離れて向き合う形でした)、男性は女性を高く持ち上げて回したため女性のスカートが大きく広がりました。そのため、ふしだら、不潔と非難され、「ボルタは多くの殺人や流産を引き起こしているので警察による厳重な監視が必要」とも書かれました。(Street)

★今日、ボルタの言葉はラテンのボルタ・ムーブメントにしか残っていません。(Concise)

★ボルタは世界中で踊られていますが、皆さんは間違った踊り方をしています。ボルタではフレームと背骨を通じてバウンスを吸収します。タイミングは3/4拍で前の足の上に、1/4拍で開いた足の上にあり、体重の90%は前の足にあるべきです。閉じたときはラテン・クロスのポジションになり、また、開いた足にヒップと脚部が入っていけるようにボディの下に空間がないといけません。(D.バーンズ)

 

 

568 ボルタ・スポット・ターン(Volta Spot Turn)【S】
サンバの基本フィガーのひとつ。通常、ボルタ・スポット・ターンと言うと女性の踊りを指します(このとき男性は男性左手と女性右手のホールドでサンバ・ホイスクを踊ります)。一方、ホールドを離して男女がボルタ・スポット・ターンを踊るケースもあり、これを「ソロ・ボルタ・スポット・ターン」と呼びます。